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ヤローズタラナキブルズ研修レポート Vol.7 (浦野龍基)

みなさん、こんにちは。
コーチングコーディネーターの浦野です。
タラナキ研修のレポートをお送りします。

はじめに、グロスターラグビーとタラナキ・ブルズで得た学びの違いについてお伝えしたいと思います。
約2週間前まで帯同していたグロスターでは、長いプレシーズンの最初の2週間を体験することができました。
この期間は、チームにとってそのシーズンの土台を強固にするための時間です。
チームとしてどんなシーズンにしたいのか。
何を体現したいのか。
そのために、どんな土台を築かなければならないのか。
開幕まである程度の時間があるなかで、チームづくりに必要な要素を一つひとつ丁寧に積み上げていく。その過程を学ぶことができました。

一方、現在帯同しているタラナキ・ブルズは、2週間という短いプレシーズンを終え、すでにシーズンが開幕しています。
プレシーズンとシーズン中では、求められることが大きく異なります。
シーズン中は、限られた時間のなかで、いかに効果的な準備ができるかが問われます。チームとして磨き上げたいこと、課題の修正、次戦の戦術、相手への対策。やりたいことが山ほどあるなかで、優先順位をつけ、本当にチームに必要なものを見極める力が求められます。
そのなかで、MTGやグループチャットで行われる意思決定のプロセス、練習の組み立てや進行、選手とのコミュニケーションを実際に目の前で見聞きしています。時には私自身も意見やアイデアを共有し、ディスカッションに加わりながら理解を深めています。

さて、今週はショートウィークでした。
勝利で飾った初戦から中5日で次戦を迎える、非常にタフな1週間です。
練習日が通常より1日少ないため、準備できることは限られます。加えて、週末にはオークランドからバスで約6時間かけて深夜に帰宅しており、リカバリーの面でも難しい週となりました。

さらに、南アフリカツアー中のAll Blacksに1名が追加招集され、初戦で2名が負傷し出場不可となるなど、戦力面でも厳しい状況で第2戦を迎えることになりました。
ちなみに、この状況に対してHCのJarradは、「Barnesy(Neil Barnes氏。All Blacksのシニアアシスタントコーチ、昨年までBullsのHC)に選手をどんどん盗られている」と笑顔で文句を言っていました。(笑)

シーズン当初の構想と比較すると、All Blacksへの選出と怪我によって、想定していた15人のうち半分以上が離脱している状況です。
例えるなら、飛車角に加えて、金銀、桂馬まで落として戦っているような状態です。
それでも、ホーム開幕戦となる第2戦、相手はワイカト。
金曜ナイターということもあり、4,000枚以上のチケットが売れていました。さらに、LOのJesse選手にとって50キャップの記念試合でもあり、負けるわけにはいきません。

コーチ陣は限られた時間のなかで、練習の強度を調整しながら、重要なポイントだけに集中して取り組めるよう工夫していました。
また、細かな修正やゲームプランについては、隙間時間を活用し、関係する個人やグループと頻繁に時間をつくりながら落とし込んでいました。
「時間がないから多くはできない」と諦めるのではなく、限られた時間のなかで、コーチとして何ができるのか。そして、やりすぎずに最大限の効果を得るにはどうすればいいのか。
その最適なバランスを模索しながら準備している姿が印象的でした。

試合当日は、ウォームアップ、コーチボックス、ハーフタイムと、すべてコーチ陣と同じ場所で、同じ情報に触れることができました。
ラグビーコーチにとって、他チームの公式戦で、ハーフタイムやコーチボックスの現場を間近で見ることができるのは、本当に貴重な機会です。
実際の試合状況のなかでどんな会話が交わされるのか。
選手たちにどんなメッセージを伝えるのか。
選手たちは何を感じ、どう反応するのか。
そして、それによってチームや試合内容がどう変化するのか。

そこには、現場にいなければ知ることのできないことが数多くあります。
今回も約90分という短い時間のなかで、非常に濃く、生きた学びを得ることができました。

さて、試合はどうだったかというと、3点差での敗戦。
後半に追い上げましたが、一歩及ばず。それでも、なんとかボーナスポイントを獲得しました。

ハーフタイムでの修正力。
DFでのプレッシャー。
良いプレーを支えるハードワーク。

敗戦のなかにも、タラナキ・ブルズらしさが随所に表れた、学びの多い試合でした。
そして何より驚いたのは、コーチ陣が刷新され、メンバーが大きく入れ替わっても、これまで見てきた過去3シーズンと変わらない「ブルズのラグビー」が再現されていたことです。

タラナキ・ブルズが年々積み上げてきたものが、確実に次の世代へ受け継がれている。
チーム単体ではなく、タラナキ・ラグビーというグループ、そして地域のコミュニティとしての強さを肌で感じることができました。
今回で4回目のタラナキでしたが、これまでとは異なる体制、異なる状況だったからこそ、また新しい学びを得ることができました。

「選択と集中」の精度。
このチームに来るたびに、ラグビーコーチとしてその重要性を実感します。
短いプレシーズン。
新しいコーチ。
新しい選手。
受け継ぐべきものは何か。
これから積み上げるべきものは何か。
今、このチームに本当に必要なものは何か。
そして、この地域のラグビーコミュニティをどう発展させていくのか。
必要なものを見極め、時間を工夫し、それを徹底的に磨き上げる。
すべてをやろうとするのではなく、何をやらないかを決め、本当に重要なことに集中する。
その「引き算の美学」に、今年もまた魅せられました。

一方で、練習後に立ち寄るカフェでは、どのコーヒー豆を買って帰るべきか決められず、「全部買って帰りたい」と思っている自分がいます。
コーヒーを買って帰るという簡単な意思決定においても、選択と集中が全くできていない私は、まだまだ未熟であると痛感しています。(笑)

ラグビーコーチとして、この1か月のなかで、フェーズもスタイルも異なるチームのコーチングを直に学ぶことができたこの環境は、世界一贅沢だと感じています。
この学びをどれだけ自分の糧とし、チームに還元できるか。それが、これからの私のチャレンジです。

コーヒーにうつつを抜かしてばかりではなく、帰国後は、1か月以上留守にしたことで不便をかけたチームと家族に貢献すべく、目の前の仕事に集中してまいります。

昨シーズンから大きく進化する私たちのラグビーに、引き続きご注目ください。
最後に、今年もこのような貴重な学びの機会を与えてくださったチーム、そして関係者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。