◇レッドハリケーンズ大阪戦マッチレポート

清水建設江東ブルーシャークスは1月11日、夢の島競技場(東京都江東区)で行われたNTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 ディビジョン2第3節で、レッドハリケーンズ大阪と対戦。26―21で競り勝ち、開幕からの連勝を3に伸ばした。この勝利で勝ち点4を加えたブルーシャークスは、順位2位をキープ。次節は1月18日、AGFフィールド(東京都調布市)に舞台を移し、日野レッドドルフィンズと対戦する。
佐藤が蹴り出したボールがサイドラインを大きく越えていく。ノーサイドを告げる主審の笛が響いた。野村は両拳を力強く突き上げた。一瞬の歓喜の後、安堵と忘れていた疲労感が押し寄せる。「ほっとしたのと、疲れが一気にどっと来ました」。ピッチに座り込んだ野村の左腕の白いテーピングを、低い位置から差し込む陽光が茜色に染めていた。体は万全ではなかった。自分のプレーに納得しているわけでもない。それでもフォワードの一角として、副キャプテンとして最後まで走り抜いた。厳しい状況を前にしても逃げなかった。もっと強くなれる。そう信じている自分自身を裏切らなかった。そして何よりも、チームが勝ったという事実が嬉しかった。野村はゆっくりと腰を上げ、駆け寄ってくる仲間たちと次々と抱擁を交わした。

信念と行動の積み重ねこそが、野村の強さの答えだった。この試合の4日前の練習、モールの攻防の中で左腕を痛めた。その日は練習を続けられないほどの状態。欠場を選んでもおかしくはなかった。それでも決断した。「こんな怪我じゃ『やらない』とは言えない」。その言葉の根底には、これまでの人生で育んできた一つの信念があった。「余力を残したくない」。出来ないことでも食らいつき、少しずつ出来るようになってきた。決して器用なタイプではない。京都産業大学ではバック5からプロップに転向。慣れないポジションに戸惑い、最初は辛くて、泣きながらスクラムを組み続けた。それでも苦しんだ末に掴んだものがあった。自分自身に対して得た確信があった。
野村の行動はブルーシャークスに入ってからも一貫していた。昨シーズン、豊田自動織機シャトルズ愛知に大敗した直後も、シーズンを終えた直後も、野村はクラブハウスで体を動かしていた。チームが次のシーズンへ向けて動き出すミーティングの前にも、同じようにトレーニングをしていた。自分自身が納得できていない状態で、ピッチに立つことはできない。試合に出る以上、チームメートにも「なぜあいつが出ているのか」と問われる余地を残したくなかった。そのために必要だと思うことを積み重ねてきた。だからこそ、プレーできるチャンスを簡単に手放すことなど出来るはずがなかった。大切な場面で彼が力を発揮できる理由も、信頼される理由も、日常に刻まれている行動が物語っていた。

その強さが色濃く表れたのは、試合終了間際、勝敗の行方を左右する局面だった。26―21で迎えた後半38分。直前、自陣右サイドのスクラムでペナルティーを犯し、ゴール前に迫られた。攻めきられれば逆転を許しかねない状況に緊迫した空気がピッチを覆う。相手がラックを形成しようとしたその瞬間、野村が迷いなく身体を差し込み、ボールを奪い返した。ターンオーバー。ブルーシャークスは危機を脱して勝利を決定づけた。痛みに耐えながらスクラムを組み、声を張り上げて仲間を鼓舞し、集中力を切らさずに走り続けた。その積み重ねが、最終盤の重要な場面でチームを救った。「試合が一番成長できます。経験を積める。今日も80分間きつかったですけど、去年も全試合出させてもらって、それはありがたかった。すごく成長したなって思います」。タフな毎日を送っているからこそ、ラグビーに対して貪欲になれる。誰よりも試合に出たいと思っている。そんな野村の真骨頂のプレーだった。

そして、そのプレーはチームの現在地を示す象徴でもあった。「今回、僕が出られなかったとしても、同じように勝てたと思います。誰が出ても遜色ない。それだけ今年はフロントが成長していると感じます」。そう語る野村の言葉どおり、ブルーシャークスの選手たちはフルタイムで仕事をこなしたあと、グラウンドに集う。仕事と練習の合間には映像を見返し、チームプレーの確認やイメージトレーニングを重ねる。楽な日常ではない。だからこそ、ピッチに立つ機会は特別になる。互いの努力を理解し、リスペクトしながら、貪欲に同じポジションを奪い合う。その文化こそが、今のブルーシャークスの快進撃を支えている。
試合後のロッカールームには、試合直後の興奮と熱気がまだ残っていた。談笑しながら帰り支度をする選手たちの間を縫うように、同じプロップのポジションを争うウサ・バレイラウトカが野村に歩み寄る。「強かったね」。その短い言葉には、国籍や立場を越えた確かな敬意が宿っていた。日本人選手たちが、どんな日常を過ごし、どんな思いでラグビーに向き合っているのか。それは、言葉にせずとも伝わっている。肩を叩かれ振り返った野村は、はにかみながら短くうなずいた。
◇仁木監督、安達航洋キャプテン会見

質問者:本日の試合の総括をお願いします。
仁木監督:まず初めに、この試合の開催にご尽力いただきました関係者の皆様、本当にありがとうございました。いつも通り胃が痛い展開でしたが、14点差をしっかり跳ねのけて、一つ壁を乗り越えられたという点で、成長を感じられた試合だったと思います。昨シーズンも開幕で2連勝し、年明けに釜石シーウェイブスとの試合で敗れてしまい、そこから自信という点で少し下向いてしまった部分がありました。今回は14点差をひっくり返して勝利できた。これは、これまでも言い続けていますが、チームがタフになってきている証拠だと思います。本当に成長を感じられる試合でした。ありがとうございました。
安達選手:前半は風下を取ることになり、相手がキックを強みとするチームだということも分かっていました。その中で、前半は我慢し、後半にしっかり跳ねのけて勝とうというプランを最初から共有していました。14点を先に取られましたがそこは想定内で、ハドルでも「ここからもう一度ボールを継続して前に出ていこう」と話し、実際に2本取り返して前半を良い形で終えられました。後半はエリアも取れて、プラン通り試合を進められたことが勝利につながったと思います。
質問者:かなり風が強かったですが、その影響はどの程度ありましたか。
仁木監督:夢の島を使わせていただいてから、1、2を争うほどの強風だったと思います。ただ、夢の島らしいとも感じました。こうした状況も想定しながら、天気予報を見てゲームプランを立ててくれたコーチ陣には感謝しています。木曜日の夜の練習でも同じくらい風が吹いていて、結果的に良い予行演習ができました。試合に出ていないメンバーが仮想レッドハリケーンズ大阪としてプレーしてくれたことも大きかったです。今日の相手の攻撃を見て、その練習を思い出しましたし、全員の勝利だと思います。課題はもちろんありますが、あの練習ができたことは運も味方した部分だったと思います。

質問者:後半早い段階で田森(海音)選手が入りましたが、これはプラン通りでしょうか。
仁木監督:立川(直道)は80分出続けられるタイプではありませんし、無理をさせるつもりもありません。脳震盪ほどではないですけど少し頭を打っていたこともありました。田森は、立川の後をしっかり締めて勝利に持っていく役割の選手です。好不調の波がなく、頭も良くてやるべきことを理解しています。
質問者:西端(玄汰)選手が前節ではトライに行くのではなくオフロードパスを何回か選択していましたが、今節は自分でトライを取り切りました。彼の評価について教えてください。
仁木監督:こういう舞台で輝く選手ですね。東福岡高校、近畿大学としっかり実績を積んできて、取り切ってくれる頼もしい選手です。何よりラグビーを楽しそうにプレーしている。練習中もネガティブな姿を一度も見たことがありません。ニコニコしながら、やるべきことを全力でやってくれる。まだまだ伸び代しかない選手だと思っています。
質問者:安達選手に質問です。風の影響で落ち着かない展開の中、チームにかけていた言葉はありますか。
安達選手:前半は風下で厳しい展開になることは分かっていました。「想定内だから、まずはディフェンスで前に出よう」「アタックはボールを継続しよう」ということを常に話していました。

質問者:仁木監督はこれまで先手必勝を掲げてきましたが、今日は風下を選択しました。その判断について教えてください。
仁木監督:風下を取るかどうかは、ヘッドコーチの吉廣(広征)、キャプテンの安達らで決めたと思います。ただ、風上・風下に関係なく、我々はまだ横綱相撲を取れるチームではありません。下から這い上がっていく立場として、先に殴られるより先に殴る。その方が推進力も出ますし、チームの雰囲気も上がります。ディビジョン1昇格を目指す上で、これは不変の考え方ですね。
質問者:野村三四郎選手の出場までの経緯と、フル出場した今日の評価を教えてください。
仁木監督:三四郎は万全でなくても、自分の役割を全うしてくれる選手です。責任感も年々増していますし、フランス研修から戻って以降は、リーダーシップもより発揮してくれています。80分の出場については、交代を考えたタイミングもありましたが、変えきれなかったのは私の反省です。ただ、結果的に最後まで出て勝利につながった。出番がなかった齊藤(遼太)とウサ(バレイラウトカ)には申し訳なかったですが、これも経験として次に生かしてくれると思います。

質問者:安達選手に続けて伺います。今日は風下で苦しい前半を耐え、後半に勝負をかける意図だったと伺いました。昨シーズンは80分を通して戦い切る点に課題もあった印象ですが、今シーズンはその部分でチームとしての変化を感じていらっしゃいますか。
安達選手:昨シーズンは前半と後半で力の差がありましたが、今シーズンは23人だけでなく、チーム全体のレベルが上がっています。後半から出てくる選手がエナジーを与えてくれるのが、今季の大きな強みです。今日は後半からクーニー(コンラッド・バンワイク)のようなキック力のある選手が出てくることも分かっていましたし、そこで勝負しようと考えていました。
質問者:前半を僅差で折り返せた点、特にゴール前の粘りについてどう感じていますか。
安達選手:ゴール前のディフェンスは、ディフェンスコーチの権丈(太郎)さんから「激しく前に出よう」と常に言われています。今日は全員が同じ方向を向いて、それを体現できたと思います。
質問者:ありがとうございました。
◇野村三四郎選手 一問一答(副キャプテンとしてフル出場でチームを牽引)

質問者:今日の試合を振り返っていただけますか。
野村選手:前半も後半も最後ゴール前を背負ったんですけど、チーム全員で体を張って簡単に取られずに守り切れたのが、今日の勝因だと思います。
質問者:去年と違う点はどこでしょう。
野村選手:去年はあそこまで行かれると、フィジカルでどのチームにも押し込まれることが多かった。でも今年はフィジカルの部分をシーズンが始まってからしっかりやっていて、ディフェンスのダブルタックルの練習もいっぱいしてるので、簡単には取られなくなってると思います。
質問者:繰り返しやってきたことが活きてますか。
野村選手:そうだと思います。
質問者:試合の最初は風の影響もあり落ち着かない展開でした。
野村選手:前半は元々風下を取る予定でモールが多くなるのも想定済みだったので、前半はタイトなゲームになるのは分かってました。そこでモールでも相手にプレッシャーをかけられてたと思うし、良かったなと。風上・風下でもトライ数は一緒だったので、良い折り返しができたと思います。ただ、本当はスクラムでチームを乗らせないといけないんですけど、今日はそこでチームをピンチに招いた部分もあったので反省です。

質問者:後半のスクラムは修正出来ている感じがありました。
野村選手:そうですね。そこは今シーズンの良いところで、相手がどういうスクラムを組んでくるかに対して、フロント3で細かい対策ができるようになってます。パニックにならずに自分たちのスクラムを80分通して組めるようになってます。
質問者:それはベースができたからこそ?
野村選手:そうですね。自分たちはこのスクラムを組めば大丈夫っていうベースがあるので、もしそれにできないことをされたら、修正して自分たちのスクラムを組むっていう感じです。

質問者:左腕を怪我をしていたと思いますが、大丈夫でしたか?
野村選手:火曜日の練習でモールをやってる時に、ちょっと痛めて。診断的には大丈夫です。こんな怪我じゃ「やらない」とは言えないです。
質問者:怪我の状態で80分試合に出る。しかも会社員をやりながらという立場です。その貪欲さはどこからくるのでしょうか。
野村選手:僕もなんでやってるんだろうって思う時はあります(笑)。1日のスケジュールもタフですし。でも高校(名古屋市立西陵高校)も大学(京都産業大学)も練習が厳しい環境にいて、ずっとそういう人生を歩んできています。ちょっとやってないな、自分に隙があるなっていうのは気持ち悪いんですよね、生活していて。
質問者:余力があるという状態が?
野村選手:そうですね。そういう時って絶対失敗しますし、全然うまくいかないことが多いんですよ。大学も精一杯やって、なんとかギリギリ追いついてレギュラーで出させてもらった立場でした。環境の種類は違うんですけど、今みたいに仕事しながらタフなところでやるのは自分に合ってるのかなと思います。きつかった環境も、終わって振り返ってみたら楽しいですし。

質問者:練習環境が厳しい環境の高校と大学に入ろうと思ったのはなぜでしょう。
野村選手:高校は兄が行っていたことと、当時は全国大会によく出る高校だったので。大学は、当時ナンバーエイトだった僕に「プロップで来い」って言ってくれた。ちゃんと見て選んでくれてると思って、その信頼で行きました。
質問者:ブルーシャークスに入ったのは、厳しい環境を選んでのことですか?
野村選手:それもありますし、声をかけてもらったのが一番早かったんですよ。義理っていうか、そういうのって大事かなって。入ってみたら、チームが温かい。全員がタフなことをしてるのを理解してるし、外国人選手もそれを理解してくれる。プロ選手が主体のチームとは違った団結力があるなと感じます。
質問者:ブルーシャークスには世界的な選手もいて、彼らが刺激を受けてると言ってくれるのはすごいことだと思います。
野村選手:最近それを特に感じます。ビリー(バーンズ)とかシオネ(タリトゥイ)が来てくれて、本気でやってくれてるのはこのチームが良いって思わないとできないと思うので。僕は今年で4シーズン目ですが、チームは成長してきていると思います。

質問者:副キャプテンとして今季3試合目のプレーでした。気持ちの変化はありますか。
野村選手:先頭に立つ立場になるので、カッコ悪いプレーはできない。ひとつひとつのプレーに責任がある。簡単なプレーはできないし、パス一つにも責任があるなって。去年よりもっと責任持ってやらないといけないと思います。
質問者:練習を見ていても、控えの選手たちが本気で立ち向かってきていますね。
野村選手:そこが良いと思います。「ここで勝てば試合に出られる」って思って本気で毎週やってくれてる。僕らも負けないようにすれば、そこで成長できる。お互いが成長して、チーム層の厚みが出てくると思います。
質問者:ラグビー選手としての目標を教えていただけますか。
野村選手:日本代表になりたいです。トップになりたいです。
質問者:この環境でやりながら、少しずつその目標が見えてきた感じでしょうか?
野村選手:そうですね。日本代表のプロップを見ると、もっと動いてるし、フィールドプレーも激しい。そこをもっと磨かないとと思ってます。ただ、他のチームよりタフな環境でやってるので、もし日本代表に選ばれたらっていう夢はあります。働きながら代表になったらすごいなって。
質問者:夢がありますね。
野村選手:まだまだ遠いですけど。今年、ディビジョン1との入替戦に絡むことはその夢にも一歩近づくことなので。ディビジョン2だと目に留まりにくいと思うので、まずチームをディビジョン1に上げて、そこからだと思ってます。

質問者:休んでるわけにはいかないと。
野村選手:そうですね。まだまだレベルが足りないので。あと、オフの日に他の選手がトレーニングしているのを知ると、「僕は今ベッドの上で寝てるけど、あの人はトレーニングしてる…」と思って。それに試合に出させてもらってる以上、控えの選手に納得してもらわないと自分自身も気持ち悪いので。
質問者:理想の選手像としては、80分出続けられる、誰よりもハードワークできる、周りが納得して尊敬してもらえるような選手になりたいと。
野村選手:そんな感じです。誰が見ても「三四郎が出ないとな」って思われないと、自分も気持ち悪いですし、そう思われるようにもっと努力しないとダメです。
質問者:目標が高いですね。
野村選手:今日は全然ダメです。個人としては満足してない。チームのおかげで勝てたと思ってます。勝てて反省できたことが、来週の試合への意気込みにもなるので、勝てて良かった。チームにありがとうっていう感じです。

質問者:良い経験をしましたね。
野村選手:そうですね。1、2試合目はスクラムでプレッシャーをかけられたんですけど、今日はそこでプレッシャーをかけなくてもチームが頑張ってくれた。すごく良い経験になりました。
質問者:次は日野レッドドルフィンズ戦です。意気込みをお願いします。
野村選手:日野もセットプレーが強みのチームなので、そこでバトルしてドミネートして、チームに勢いをつけたいです。今日もモールで1位の近鉄(花園近鉄ライナーズ)にプレッシャーをかけてたので、スクラムだけじゃなくモールのディフェンスもアタックも、今週もっと積み上げて、セットプレーで圧倒できるようにしたいです。
質問者:自信のほどは。
野村選手:あります。もちろん。
質問者:力強いですね。ありがとうございました。
◇田森海音選手 一問一答(後半17分から出場し、チームにエナジーを与えた)

質問者:後半途中からの出場となりました。試合の手応えはいかがでしたか。
田森選手:勝てたことはすごく良かったですが、個人のパフォーマンスとしては、そこまで手応えがあったかというと、そうでもなかったかなと思います。1本タックルを外されてしまいましたし、後半から出る立場としては、出場した瞬間からインパクトを与えられるように意識しないといけないと感じました。あとはスクラムですね。1つはペナルティを取れましたが、2本ほど取られてしまいました。相手が強かったというのもありますが、もう一度プロセスに立ち返ってやっていきたいと思います。
質問者:試合に入る時は、どういうイメージで入りましたか。
田森選手:風上でしたし、まずはボールをキープして、反則をしなければ必ず取れるという自信はありました。チームとしてはそこを意識し、個人としては何らかのインパクトを残したいと思いながら入りました。
質問者:今年はフォワードのフィジカルをかなり強化して、セットプレーを重点的にやっていると思いますが、その中で意識していることはどのような点でしょうか。
田森選手:スクラムは去年からずっと課題だと感じています。キャリアのあるナオさん(立川直道選手)はスクラムで頭一つ抜けているので、そこにどれだけ対抗できるかを意識しています。ケプ(FWコーチ)が来てから2年になりますが、細かいフィードバックをたくさんもらって少しずつ成長できていると感じています。フィールドプレーに関しては自信を持っているので、他のフッカーより走り続けて、違いを見せられるプレーをしたいと思っています。

質問者:ご自身の強みは。
田森選手:フィットネスやワークレートは自分の強みだと思っています。コンタクト、タックル、ボールキャリー、ブレイクダウンなど、そこでも差を見せて、前に出られるプレーをしたい。試合の中で1本でも2本でも、ドミネートするタックルを見せたいです。
質問者:フッカーにコンバートする前は、どのようなポジションをやっていたんですか。
田森選手:高校時代は後ろをやっていて、大学時代はナンバーエイトをやっていました。
質問者:自分で決めたんでしょうか。
田森選手:はい。周りからも向いていると言われていましたし、自分でも感じていたので、最終的には自分からコーチにお願いしました。
質問者:ポジション争いが熾烈になっていますが、そこへの思いを教えてください。
田森選手:やっぱり2番で出たいと思っていますし、そのためにやっています。セットプレーが一番のベースなので、そこでナオさんに並ぶ、あるいは超えられる選手になれたら、チャンスは必ず来ると思っています。他のフッカーも皆良い選手なので、常に刺激し合いながら、もっと上を目指してやっていきたいです。

質問者:ブルーシャークスは他のチームよりも練習時間が短く、全ての想定したプレーに参加できないこともあると思います。他の選手のプレーを「見る」「観察する」ことの効果は感じていますか。
田森選手:おっしゃる通りで、一度しかやらないラインアウトのサインで試合に入ることもあります。だからこそ、グラウンド上で実際に見ることに加え、事前に映像やハドルで動きをインプットすることがすごく大事です。少ない練習時間の中で成功させるために、その意識はかなり高まりましたし、実際できるようにもなったと思います。
質問者:確かに練習を見ていてもお互いのリスペクトを感じますし、他の選手のプレーに対して皆がそれぞれすごく関心を持っていますよね。
田森選手:やはり練習の時間が少ないので、そこで他の選手の動きなどをインプットしていることはあると思いますね。
質問者:実際の練習時間以上に濃い時間があるということですよね。
田森選手:本当にそうだと思います。全員が諦めてないですし、実際の試合以上にチーム内の争いがタフです。全員が試合に出る気持ちでやっているのがすごく良いと思います。

質問者:ラグビーのことを考える時間も自然と増えましたか。
田森選手:時間自体は減っていると思います。大学時代は一日中ラグビーのことを考えられる環境でしたけど、今は限られた時間の中で、自分に関係する部分だけを取捨選択してインプットするようにしていますし、そこが重要かなと思います。
質問者:整理することで質が上がったということでしょうか。
田森選手:そうですね。自分のプレーを中心に見て、ズレを確認して、次で修正する。映像では練習で感じた違和感の部分を中心に見て、解決できるようにしていますね。
質問者:そういう準備が万全だからこそ「早く出たい」という気持ちにつながるんですね。
田森選手:はい。いつ出ても自分のプレーができる準備はしています。
質問者:皆さん貪欲ですよね。
田森選手:そうですね、ラグビーが相当好きじゃないとやれないと思います。皆たぶんちょっと変なはずです(笑)。でもだからこそ皆が互いをリスペクトしていて、すごく良い文化ができつつあると感じています。最初に来た時から年々雰囲気も良くなっていると感じているので、すごく良い時期に在籍できているなと思います。
質問者:「ラグビーが相当好きじゃないとやれない」という言葉に説得力があります。
田森選手:本当に楽しいんです。チームは強くなってますし、一部上場企業で仕事をしながら日本のトップレベルで世界の選手とラグビーができるっていうのは、こんな幸せなことないじゃないですか。「すごいしんどいことやってるね」っていう見方もあると思いますけど、めちゃくちゃ幸せですよ。
質問者:本当にしんどいと思うのですが、それが幸せというのはおっしゃる通り「ちょっと変」かもしれないです(笑)。
田森選手:本当に本当に(笑)。

質問者:ラグビーのどういうところが好きなんですか?
田森選手:わかんないんですよね、具体的には。例えば嫌なことがあった時でも、それを忘れて何かに夢中になる瞬間ってなかなかないじゃないですか。でもラグビーしてる時って他のこと何も考えずに夢中になってただ楽しくやれるんですよね。
質問者:これからもっと楽しくなりますね。
田森選手:そうですね、タフなチャレンジがずっと待ってるんで。まずは1試合1試合、良い準備をして、メンバーに選ばれて、成長し続けることです。
質問者:ありがとうございました。