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◇日本製鉄釜石シーウェイブス戦マッチレポート

 清水建設江東ブルーシャークスは11月22日、東京都江東区・夢の島競技場で日本製鉄釜石シーウェイブスとのオープン戦に臨み、31―21で勝利した。前半はリードを許す展開となったものの、徐々に本来のプレーを取り戻し後半に逆転。12月13日のシーズン開幕戦(夢の島競技場)でも対戦する相手にしっかりと勝ち切り、今季最後のプレシーズンマッチで仕上がりの良さを示した。

 前半ロスタイム、トライを決めてガッツポーズする田森

 勝利のハイタッチを交わす選手たちの背後から、晩秋の西陽が 差し込んでいた。強い逆光がラインライトのように一人一人の輪郭を際立たせている。その光景が彼らの結束の強さを物語っていた。今季初のホームスタジアムでの実戦。シーズン開幕がいよいよ近づいてきた独特の緊張感の中で、チームは収穫も課題も手にした。「結果としては勝てたけど、もっとできるところはあったと思う。ここから開幕までどれだけ積み上げられるかが大事」と仁木監督。指揮官の言葉には一層の力が込められていた。

 勝利のハイタッチを交わすブルーシャークスの選手

 卓越した技術と冷静な判断力で、劣勢の流れを断ち切った。19ー21で迎えた後半25分。敵陣22メートルライン内の右サイドでのラインアウトからブルーシャークスは数度フェーズを重ねたが、なかなか前に出られない。攻撃が手詰まりになりかけたその時、バンワイクのコールが力強く響いた。ボールを呼び込みパスを受けると、左足一閃。正確無比な放物線で逆サイドを駆け上がるトゥイトゥポウの元にラストパスを届け、逆転のトライを演出した。「エス(トゥイトゥポウ)が「スペースあるぞ」としっかりコールしてくれたし、自分もそのスペースが見えていました。プレッシャーがかかる中でのパスだとどうしても遅れてしまうので、そこに一番早く届けられる方法を選択しました」と大仕事をやってのけた37歳のベテランは安堵の表情を見せた。

 キックで攻めるバンワイク

 互いを心からリスペクトし合う。ブルーシャークスが大切に育んできたその文化は、国籍やキャリアの違いを超えて、チーム全体に浸透してきた。プロとしてラグビーだけに専念する外国人選手と、会社員としてフルタイムで働きながらプレーする日本人選手。立場も環境も、ラグビーにかけられる時間も大きく異なる。それでも、世界トップレベルの舞台を経験してきた外国人選手たちが日本人選手のひたむきな姿に心を打たれ、刺激を受けている。その事実が、今のブルーシャークスを象徴している。今季新加入したアイルランド代表経験者のSOバーンズはこう語る。「実際にこのチームに来てみて、彼らの頑張りに本当に驚いた。働きながら練習に来て、あれだけの集中力でラグビーに向き合う姿勢は、僕たちの手本になっている」。日々の練習だけでなく、このチームの戦術理解度の高さを知れば、日本人選手たちの裏での努力まで言葉を超えて伝わってくる。今季のチームが発足した当初には、外国人選手だけでミーティングを開き「どうすれば日本人選手の力になれるか」「限られた練習時間をどう最大化できるか」を徹底的に話し合った。今ではハドルでも彼らが積極的に声を上げ、良かった点や改善点をその場で共有し合う姿が定着した。日本人選手のひたむきな姿勢に外国人選手たちの積極性が重なり、練習にはこれまで以上の緊張感と密度が生まれている。

 スクラムを組むタカウ

 外国人選手の存在は、日本人選手の成長も確実に押し上げている。バーンズと同じSOを担う山田は、その影響の大きさを打ち明ける。「僕は自分の映像を見る時間より、ビリー(バーンズ)の映像を見る時間の方が長いです。チームの戦術を理解し、その上で遂行する力。そのための技術の幅と引き出しの多さは本当にすごいと思う」。身近に高いレベルの手本がいることで、成長は自然と加速していく。仁木監督も「ビリーが入ってから、山田は一段と成長した」と目を細める。練習外でも、外国人選手と日本人選手が食事に行く機会は増えた。ラグビーの話を深める日もあれば、互いの文化を紹介し合う日もある。そんな日常の積み重ねが大きな流れとなり、ブルーシャークスの「文化」をさらに進化させている。国籍も環境も異なる選手たちが互いを尊敬し、補い合い、同じ目標に向かって歩む。その化学反応こそが、今のブルーシャークスを前へと押し出す大きな原動力になりつつある。

 ラックで体をはるバーンズ

 シーズン開幕前の最後の実戦を終えて、仁木監督は「今のチームがブルーシャークス史上最強です」と手応えを口にする。今季のチームの目標はディビジョン2で2位以内に入ってディビジョン1との入れ替え戦に進出すること。高い目標に挑む過程で、多くの困難にも直面するだろう。だが、互いのリスペクトを失わなければ、一丸になって進んでいける。最も能力の高い選手が揃っていることだけが「強さ」ではない。苦しいときほど支え合い、誰にでも誇れるチームであり続けようとする姿勢こそが、このチームの力だ。時間、技術、体力、そして結束。これから始まる戦いのために全てを積み重ねてきた。「ブルーシャークス史上最強」を証明するシーズンが、幕をあけようとしている。

 

◇安達航洋キャプテン一問一答

 今季初の夢の島競技場での試合で入場する安達らブルーシャークスの選手

質問者:対外試合が全部終わったということで、ここの合宿も含めたオフの期間からのチームの総括と、ご自身としてのオフシーズン、シーズン前の過ごし方の総括をお願いします。

安達選手:チームと個人ということですね。チームは、去年課題だったフィジカルのところを強化しようと言ってやってきて、それがしっかりプレシーズンで強化できたのが試合でも出せているなという実感があったので。プレシーズンは7試合ありましたけど、内容があまり良くない試合でも、フィジカルのところはどのチームにも負けていないなというのは選手全員が感じられたところなので、そこはすごく自信になったところですね。個人としても同じで、フィジカルというかコンタクトのところを上げていきたいというのがあったので。アタックはなかなかボールを持つ機会がなかったですけど、タックルのところでは自分の成長も感じられましたし、そこでチームに貢献していきたいな、というふうに思います。

 タックルする安達と髙橋

質問者:この間の試合もかなりタックル行ってましたよね。

安達選手:そうですね。回数はこの間できたんですけど、今チームとして取り組んでいるのはタックルしてそのまま乗り越えて、ボールを奪い返すところまでを目標にしているので、そういう意味ではもっと強くタックルして、相手を後ろに下げて、ボールを奪いに行くところまでできるようにしていく必要があるのかなと思います。

質問者:プレシーズンマッチの手応えはいかがですか?

安達選手:練習でやってきたこと自体は、試合でもある程度出せている手応えはあります。ただ今回、釜石戦を夢の島で今シーズン初めて戦ってみて、プレッシャーがかかる状況になると、これまでできていたことが急にできなくなる場面もありました。釜石も「同じディビジョン2の負けられない相手」として強い気持ちでぶつかってきて、その圧力を受けてしまった部分もあります。開幕戦では今日以上のプレッシャーが必ずかかるので、その中でも普段通りのプレーができるようにしていく必要があると思っています。

 スクラムでペナルティーを奪い、ガッツポーズする野村ら

質問者:前半の入りが難しかったでしょうか?

安達選手:そうですね。どうしても相手のプレッシャーもありますし、自分たちが焦ってしまって、ポジショニングがどんどん浅くなってしまったりしてミスが続いて。ただ後半は、そのミスさえなければ継続してトライ取れるなという感覚はあったので、それをハーフタイムで修正して後半できたのは良かったかなと思います。

質問者:仁木監督とハーフタイムに入る前に話していましたね。

安達選手:硬くなっているから、もっとリラックスして“いつも通り”のプレーをしようと、みんなに伝えるよう言われました。本当にその通りだと思っていて、練習でやってきたことを出せれば負ける内容ではないと感じていたので、そこを意識するだけでした。

 後半20分、ホームズがトライを決める

質問者:スクラムは試合を通して安定していましたね。

安達選手:そうですね。ただフォワードはスクラム、モール、ラインアウト全部で圧倒するようなセットプレーを、試合を通して圧倒していきたいと話しているので、そういう意味では、モールはアタックで一回も取れませんでしたし、逆に一本取られてしまったので。次戦、開幕戦ではそこでやり返せるように、スクラムは継続して、モールでやり返せるようにしていきたいなと思います。


◇コンラッド・バンワイク選手一問一答(藤田コナン通訳)

パスを受けるバンワイク

質問者:後半25分、トゥイトゥポウ選手の逆転トライにつながるキックが印象的でした。あの場面を振り返ってください。

バンワイク選手:彼は若くて本当に才能のある選手なんです。あのとき、彼が「スペースあるぞ!」としっかりコールしてくれて、自分もそのスペースが見えていました。あそこに最速で届ける方法はキックだと思って選びました。プレッシャーがかかる状況でパスをするとどうしても遅れてしまうので。最後までしっかりトライまで持っていってくれて、本当に良かったです。

質問者:長くチームに在籍していますが、今年のチームや近年のチームの成長をどう見ていますか?

バンワイク選手:年々良くなっていると思いますし、今年は特に良いメンバーが揃っています。全員が自分たちの目指すものにしっかり責任を持って取り組んでいるので、今年のチームは本当に楽しみです。

 攻め上がるトコキオ ソシセニ

質問者:練習を見ていて、日本人選手と外国人選手の距離が今年は特に近いと感じます。良い流れを作っている要因は何だと思いますか?

バンワイク選手:今年は特にそこに力を入れていて、まとまりを強くするために交流もたくさんしています。もちろん言語の壁はありますが、英語や日本語がほとんど喋れなくても、なんやかんやでコミュニケーションは取れるんです。そういう積み重ねで、一つのチームとして一体感が出るように頑張っています。

質問者:キックが年々うまくなっているように見えます。

バンワイク選手:いやいや(笑)。特別に上手くなったというより、いい状態をしっかり保とうと意識しているだけですね。