1月18日 レッドハリケーンズ大阪戦マッチレポート
清水建設江東ブルーシャークスは1月18日、ヤンマースタジアム長居(大阪府)で行われたNTTジャパンラグビーリーグワンディビジョン2第4節で、レッドハリケーンズ大阪に19-38で敗れた。ブルーシャークスは敗れはしたものの、合計勝ち点「8」で4位をキープ。次節は2月8日に本拠地、夢の島競技場(東京都)で豊田自動織機シャトルズ愛知と対戦する。
最後まで挑戦者としての矜持を見せた。自陣左サイドで見せたラストワンプレーの守備に、これまでの成長が集約されていた。19点のビハインドで、ゴールまでわずか2メートルの距離での相手ボールのラインアウト。勝負は既に決していたが、ブルーシャークスのフォワード陣はモールで攻めてくる相手に全力で立ち向かった。これ以上の得点は許さない。2度のラインアウトの末に混戦からマーフィーがボールを奪取。相手のペナルティーを誘うと、ベンチに向かって笑顔でVサインを作った。
吉廣ヘッドコーチは「本当に感動した」と誇りを持って戦い抜いた選手達を讃えた。
泥臭く喰らい付いた。12-38で迎えた後半36分、ゴール前中央のラックから臼井が左に展開。森谷が倒れ込んだまま折り返したボールをバンワイクが拾い上げ、2人のディフェンダーを引きずりながら力強くトライ。簡単にはボールを失わない粘り強さと、ボールを持っていない時でも仲間を信じて走り続ける気持ちが、この反撃を生んだ。終盤まで気持ちを切らさず、リーグ屈指の強豪相手にも簡単にワンサイドゲームにはさせなかった。仁木監督は「首位を走るチームに対してしっかり戦えた。自分たちはチャレンジャー。がむしゃらにやっていい」と選手達の前向きな姿勢を後押しした。
挑戦者にとって大切な資質とは何だろうか。白子キャプテンは「自分がラグビープレーヤーとしてもっとうまくなりたい、チームの地位をどんどん上げたいという気持ちや気概」だと語る。この試合で今シーズン初めて先発の座を掴んだ宮㟢は、そんな貪欲で真っ直ぐな向上心を持ち続けてきた。近年は度重なるケガに悩まされ、復帰した昨シーズンも出場は3試合にとどまった。だが、28歳の快速WTBは悔しい気持ちを抱えながらも練習では声を出し続け、試合に出場するメンバーの居残り練習にも積極的に付き合ってきた。この試合でも攻撃のチャンスが限られる中、気持ちのこもったタックルを連発。立ち上がりで相手のチャンスを阻んで流れを作るなど、チームに貢献した。努力を惜しまない献身的な姿勢は自らの技術の向上を助けるだけではなく、周囲に「この人を応援したい」と思わせる力を持つ。この日は両親が地元の長崎から駆けつけて声援を送ってくれた。出身の長崎ラグビースクールのスタッフもSNSを通じて激励のメッセージを寄せてくれた。「すごく力になりました。これからも一戦一戦を大事に、悔いの残らないようにやっていきたい」と宮㟢は語った。挑戦には必ず逆境がある。そんな時こそ、人々の支えが困難を乗り越える力になる。挑戦者にとって大切なのは、人を惹きつける純粋さなのかもしれない。
次節は2月8日、公式戦で一度も勝ったことがない豊田自動織機シャトルズ愛知と夢の島競技場で対戦する。仁木監督は「これで2連敗。全てのレギュラーは白紙です」と選手の前で宣言した。次の相手も手強い。険しい道は続いていく。それでもブルーシャークスには宮㟢だけではなく、ラグビーに対して誠実な選手が揃っている。チャレンジし続ける限り、必ず応援してくれる人たちがそばにいる。物語の主人公は、いつだって挑戦者だ。
仁木監督、白子キャプテン会見
質問者:本日の試合の振り返りをお願いします。
仁木監督:まず初めに、こうした素晴らしい環境でラグビーをさせていただきまして、本当にありがとうございました。また、開催にご尽力いただきました関係者の皆様、本当にありがとうございました。チャレンジをするというところで大阪に乗り込んできましたが、連勝しているチームと先週負けたチームの差かなという風に思いました。チャレンジャーとして1つ1つ勉強して、長いシーズンまだまだありますので、敗戦の理由も含めてしっかり自分たちで受け止めて今後に歩んでいきたいなという風に思います。本日はありがとうございました。
白子キャプテン:相手に素晴らしい優秀なキッカーがいるということ、あとは少ないフェーズでトライを取り切れる力があるということを分析していて、自分たちのボールを失わないように、なるべくボールをキープして戦おうという話をしていたのですが、ボールロストするシーンやペナルティーを重ねるシーンが多く、それが失点に繋がったのかなと思っております。
質問者:今日どのような狙いを持って試合に入られましたか。
仁木監督:相手に良いランナーもいるということで、全員でしっかり守ると。ただ、エリアをしっかり取りに行くってところも1つ狙いだったと思いますし、あとは少ないフェーズで得点を取るというところ。3連勝されてきたチームの得点パターンを見るとそういった傾向が多かったものですから、そこはしっかりやっていかなければいけないなっていうところだったと思います。ただそれができたかと言われると、この結果の通りだなという風に思います。
質問者:白子キャプテンにお聞きします。今日大阪のグラウンドで実際に試合をやってみていかがでしたか。
白子キャプテン:僕はここで2回試合をしたことがあるのですが、恵まれた天候も含め、素晴らしい環境でラグビーできることに感謝して盛り上がっていこうというような話をロッカールームでしました。
質問者:2週間空いて次は2月8日にホームでの試合となります。この期間で修正や改善したい部分はありますか。
白子キャプテン:そうですね。やっぱりボールロストしてしまう、ミスしてしまうところの連携をもうちょっと深めて、自分たちがミスで終わらないようにするっていうことが1つ。あとは最終的なディフェンスの局面でペナルティで終わってしまって、もう1回相手にアタックするチャンスを与えてしまってることも多いので、ノーペナルティでしっかりディフェンスで守り抜くっていうところを修正したいなと思います。
公式戦ではまだ1度も勝ったことない豊田自動織機シャトルズ愛知さんとやることになるので、ホームでぜひ勝って、ファンの皆様に良いところを見せたいなと思います。
質問者:最後にゴールライン際の守備で得点をさせなかったことに対して評価をお願いします。またあのプレーについてお2人が感じたことをお伺いしてもよろしいでしょうか。
仁木監督:そうですね。前半最後と後半最後にトライを守ったところは同じシチュエーションだったと思うんですけど、本当にタフになったなという風に上(監督席)から見ていました。もちろん状況は違えど、後半の最後に関しては勝敗がほぼ決まっている中であそこまでひたむきにトライをさせないっていう姿に関しては非常に次に繋がる点かなと。レッドハリケーンズ大阪さんはあそこから力強く得点をしていくパターンだったと思うんですけど、それは全て防げたと思ってますので、ここは本当に自信になります。崩されてトライを取られたところは今回1つもなかったのかなと思っていますので、そういった部分に関しては次に繋がるところですし、首位を走るチームに対してしっかり戦えたところだと思っています。ここに対してはとても評価しています。
白子キャプテン:私たちは今年「ユニットプライド」というスローガンとして、フォワードはフォワード、バックスはバックスの勝負でそれぞれ勝っていこうということを掲げています。ラインアウトとモールのディフェンスのところはフォワードの戦う場所だったので、そこをしっかり守り切れたということはすごく自信に繋がることだったと思うので、ここは次節につなげていきたいなと思います。
質問者:白子キャプテンは後半リードされた場面からの出場でした。後半にピッチに入った選手達がチームの雰囲気を変えたと思ったのですが、点差が開いてる状況でもどんなことが出来ると考えていましたか。
白子キャプテン:点差ということに関してはあまり意識をしていなかったのですが、後半のメンバーの役割は、勝っていても負けていても出てきた時にチームに勢いを与えることだと思うので、それは自分たちが出た時にしっかりやろうということはリザーブメンバーで話し合ってました。
質問者:失点の場面で自陣でのキックミスが2本あったかと思います。これは(キックをした)ソポアンガ選手だけの責任ではないと思うのですが、今後チームでどのように改善していこうとお考えでしょうか。
仁木監督:そうですね。リマ(ソポアンガ)はチームを推進する非常に大きな役割を担ってくれているので、そこに関しては単にゲームの流れの部分と相手がしっかり分析していたという部分なのかなと思います。ここに関してはやっぱり改善していかなければいけないと思っていますし、グラウンドスタッフ陣と何がいけなかったか、次にどうしなければいけなかったのかという所をしっかり備えた上で次戦に挑んでいかなければいけない、チャレンジして行かなければいけないかなと思っています。
質問者:今日は宮㟢選手がスタメンで入りました。宮㟢選手を起用した戦術的な意図、またもしそれ以外の意図があれば本日の評価と併せてお願いいたします。
仁木監督:戦術的な意図っていうのは実はあんまり私自身は持ってなくて。ただ試合に出ないメンバーの中の一員として、本当に絶えず体を張って声出し続けてくれて、パフォーマンスも常に高いところで維持してくれていましたので、そこに関しては信頼を持って起用させていただきました。プレーに関してですが、練習試合に1試合出るより公式戦に10分~20分出た方が経験値としても得るものが多いと思いますので、反省すべき所はあったと思いますけど、一生懸命やってくれたと思っています。
質問者:試合の緊張の中でがむしゃらさとプレーの精度を両立させるのはとても難しいことだと思いますが、それを成し遂げるためにはどのようなことが必要でしょうか。
仁木監督:そうですね。私はもうがむしゃらにやっていいと思ってますし、そこに対しては、たぎるぐらい熱くやるべきだと思ってます。我々はチャレンジャーですので、いつも試合開始前に選手に向けて声かけをさせていただく時に「前半で足が動かなくなったっていい」っていう話を常々しています。今日の試合に関しては、前半行きそうになった時に我々のタイミングで点を取れなかったという部分が勝敗に大きく影響したのかなという風に思っていますので、やっぱりチャレンジャー精神を失ってはいけないと思ってます。何度も言いますけど、ディビジョン2は最下位からのスタートですので、1戦1戦本当に勉強させてもらいながら、チームとしても勉強させてもらいながらいかなければいけないと思っています。
白子キャプテン:試合においてチームでやろうとしていることを理解して、自分の役割を徹底するということがまずは大事だと思います。その上で自分がそのプレーに関与してない時にどれくらいアグレッシブに走れるか、オフザボールの時に声をかけられるか、連携を深められるか、そういうところが熱さと冷静さの均衡を保つのではないかと思ってやっています。
質問者:さきほどチャレンジャーというお言葉が出ましたが、チャレンジャーにとって1番必要なものは何でしょうか。
仁木監督:もう気持ちだと思います。ラグビーは気持ちがないと絶対にできないスポーツだと思ってますし、私も小学校からラグビーを始めましたけど、気持ちだということは常々言われてました。やはりどれだけ能力があっても気持ちがなければ何もできないと思いますので、もうここは気持ちだと思います。
白子キャプテン:私も同感です。やはりチャレンジャーとして大事なのはハングリー精神というか、自分がラグビープレーヤーとしてもっとうまくなりたいとか、チームのポジションをどんどん上げたいという気持ちや気概が大事なんじゃないかなと思います。