1月11日 日本製鉄釜石シーウェイブスマッチレポート
清水建設江東ブルーシャークスは1月11日、東京・江東区の夢の島陸上競技場で行われたNTTジャパンラグビーリーグワンディビジョン2第3節で、日本製鉄釜石シーウェイブスに24-35で敗れた。今シーズン初黒星のブルーシャークスは合計勝ち点「8」で4位。次節は1月18日にヤンマースタジアム長居(大阪府)で首位のレッドハリケーンズ大阪と対戦する。
24-35の11点ビハインドで迎えたラストワンプレー。齊藤は相手選手がサイドラインに蹴り出そうとしたボールを最後まで追いかけた。ノーサイドの笛が響くと、悔しさを滲ませながら両膝に手を着いた。勝利には届かなかった。しかし、最後までやりきった経験は、これからの力になるだろう。仁木監督は「今日負けたことで我々の現在地というところがよく分かりました。この負けを我々はどう糧にして、成長して次に向かっていくかというところだと思います」と力強く語った。
積み上げてきた技術を、存分に発揮した。見せ場は7-0で迎えた前半28分。ゴールから約10メートルの右サイド、ラインアウトからのモールで圧力をかけると、一瞬の隙に抜け出したトロケマイケルがトライを決めた。前節の課題だったモールのポジショニングや意識の部分を磨き直して結果に繋げた。同36分には自陣の右サイドで相手のパスをインターセプトした尾﨑が約70メートルを爆走してトライ。抜群の集中力で主導権を握りかけたが、試合が進むにつれて増していった相手の勢いに押されて反撃を許してしまった。
敗れはしたものの、この試合に臨む過程で大切なことに気付いた。2日前の練習、主力選手達はノンメンバーで構成されるチームに圧倒された。悔しい気持ちを胸に全力で向かってくる相手を止めることができなかった。練習の終わりに、チームメートを前にした白子キャプテンはこう話した。「今日は自分たちのラグビーをさせてもらえなかった場面が多くあったと思います。ひたむきさに勝るものはない。ひたむきさは一つ一つのクオリティーを向上させる。自分たちのラグビーを遂行することも大切だけど、それを忘れないでいこう」。瞬間の判断、カバーリング、動き出し。一人一人の気持ちによる変化は小さいものかもしれない。ただ、それがチームとなった時に大きな違いが生まれる。その力は時に、技術も体力も凌駕する。逆転された後半について仁木監督は「釜石シーウェイブスさんが 一生懸命ひたむきにラグビーをして、1つの勝利に向かって全員で力を合わせてきたというところだと思います」と分析した。挑戦者として重要なことを、改めてライバルからも教えてもらった。
次節は1月18日に敵地で開幕から3連勝で首位を走るレッドハリケーンズ大阪と対戦する。「戦術に関しては積み上がってきていて、私を含めてチーム全員が自信を持っています。やはり気持ちの部分。ここしかない。レッドハリケーンズ大阪さんは勢いあるチームなので、必ずその勢いを止められるようにチャレンジしていきたいと思います」と仁木監督。壁を乗り越える方法は、いつだって1つだ。挑戦者として、ひたむきさをフィールドで表現すること。その先には、必ず未来の勝利が待っている。
◇仁木監督、白子キャプテン会見
質問者:試合の総括をお願いします。
仁木監督:まず初めに今回の試合開催にあたって開催にご尽力いただきました関係者の皆様、本当にありがとうございました。 結果は敗戦という形になりましたけども、この敗戦をスタッフ、選手含めてどう受け止めるかというところだと思っています。黙っていても次にレッドハリケーンズ大阪戦が来ますので、しっかり切り替えて臨んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。
白子キャプテン:今週はチームを通してすごく強度の高い練習をして積み上げられてきたと思っていたんですが、なかなか自分たちのプレーや良さが出せなかったり、肝心なところでミスがあったり、そういったとこで勝ち切れなかった部分がありました。次に向けて修正していきたいなと思います。
質問者:接戦で勝ちきれなかった要因を教えて下さい。
仁木監督:そうですね。戦術などの問題ではなくてですね、単に気持ちの差かなという風に思います。(開幕から)2連勝させていただいて、一戦一戦というところを選手にもスタッフにも言い続けてきましたが、やはり年末年始を挟んでどこか綻びがあったのかなと。必ず勝たなきゃいけない試合だったと思いますし、勝って次戦に臨みたかったと思いますが、この負けを我々はどう糧にして、成長して次に向かっていくかというところだと思います。
白子キャプテン:そうですね。我々はディビジョン3から2に上がったチームとして今年はチャレンジャーなので、一戦一戦で自分たちのラグビーを準備して戦ってどうかというところで、すごく良い準備ができたっていうところはあったと思いました。ただ勝ちに対する貪欲さやひたむきさみたいなところでやはり釜石シーウェイブスさんの方が上回ったのかなと思っています。おごりがあったわけではないですけど、もう1回自分たちの練習に対する態度などからしっかり見直して、もう1回積み上げていくということが重要なのかなと思ってます。
質問者:釜石シーウェイブスに対して苦手意識みたいなものはありましたか。
仁木監督:苦手意識というようなことは全然ないです。ただ単に釜石さんが 一生懸命ひたむきにラグビーをして、1つの勝利に向かって全員で力を合わせてきたというところだと思います。ある意味今日負けたことで我々の現在地というところがよくわかったかなと思います。(開幕から)2連勝してきましたけど、1つ勝つことの重さだったりっていうのは、本当に私自身も強く感じましたし、そういったところかなと。
白子キャプテン:そうですね、釜石さんは勢いが出てくるとすごくアタックリズムが出てきて、ワイドに展開して、すごく強力なアタックをしていくのはわかっていました。ただどうしてもそのテンポが生まれた時に、自分たちがディフェンスで我慢しきれなかったり、止めてたとしてもペナルティでアドバンテージでもう1回自陣でディフェンスすることになったり、そういった課題がまだ自分たちで修正できてないのかなっていうところがありました。そこは成長の余地や課題だと思うので、次戦に向けてそういうところをしっかり修正して、次にまた釜石さんと戦う時には絶対に勝ちたいなと思います。
質問者:白子キャプテンは後半チームが苦しい時間にピッチに入りました。どのようなことをチームにもたらそうと思いましたか。
白子キャプテン:試合の局面的には結構押されつつあったゲーム展開で、少し元気がなくなってしまっていた時間帯でした。今週のチームのテーマがコミュニケーションだったんですけど、私が入ったことによって発信して盛り上げるような役割ができたらなと思って入りました。
質問者:先ほど監督が「気持ちの差」と仰っていましたが、仁木監督は試合を上から見ている中で、白子キャプテンはピッチの中にいた中で、具体的にはどのようなことを感じられてましたか。
仁木監督:キャプテンが言った通り、釜石さんは勢いが出るとなかなか止め辛いですし、上から見ていると釜石さんの方が単純に勢いがあったかなと。今年はディビジョン2に昇格させてもらいましたけど、順位的には最下位からのスタートでしたので、そういった部分で言えばチャレンジャー精神のようなものを失っていた部分もあったのかなという風に思います。それは選手だけじゃなく、もしかしたらスタッフや私にもどこか慢心した部分があったのかもしれません。敗戦で勉強するのも嫌でしたけど、そこの部分は敗戦で勉強させていただいたかなという風に思います。
白子キャプテン:具体的に言うと自分がボールに関わらない時の動きが良くなかったのかなと。勝利へのひたむきさみたいなところが足りなかったのかなっていうとこだと思います。やはり自分の目の前にボールがある時以外の動きというのがラグビーでは重要になってくると思うんですけど、そこの動きがちょっとレイジーだったというか、もっとできたのかなと。そういうところで綻びが出たのかなと思います。
質問者:ブレイクダウンのところの綻びは、体力的な問題ではなく気持ちの問題という感じでしょうか。
白子キャプテン:1人が10%や20%上げることって難しいと思うんですけど、1人が1歩でも1%でも上げることによってチームの総力ってのは変わってきますから、そういったところを声かけてチームとしてできたらよかったのかなと。あとは後半から入ったメンバーがもうちょっと勢いを与えられることっていうのもやはり重要だったのかなと思います。
質問者:次戦に向け、1人ひとりが1%を上げるためにどのような点を改善しますか。
仁木監督:そうですね。戦術に関しては夏にスタートした頃から積み上がってきていて、私含めてチーム全員自信持ってると思いますのでここを大きく変える必要は全くないと思っています。繰り返しになりますがやはり気持ちの部分、ここしかないと思います。レッドハリケーンズ大阪は今日近鉄に勝って3連勝して勢いあるチームなので、必ずその勢いを止められるようチャレンジしていきたいなという風に思います。
白子キャプテン:私も監督の仁木と同意見です。やはり意識の部分で変わる部分は大きいと思うので、戦術だったり自分たちがやってきたことを大きく変えるわけじゃなく、そこの精度を高めるってところです。あとは動き出しを早くするだとか、関係ない時に気を利かせて動くとか、コミュニケーションを事前に取っておくとか。そういったことの小さな違いが大きな変化を生むと思うんで、そこをしっかりチームメイトと話し合って、また1週間良い準備をしたいなと思います。