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12月28日 九州電力キューデンヴォルテクス戦マッチレポート

12月28日 九州電力キューデンヴォルテクス戦マッチレポート

 清水建設江東ブルーシャークスは12月28日、東京・江東区の夢の島陸上競技場で行われたNTTジャパンラグビーリーグワンディビジョン2第2節で、九州電力キューデンヴォルテクスを41-33で破り、開幕から2連勝を飾った。これにより、ディビジョン2ではチーム史上初となるシーズン2勝と、ホームでの待望の白星を獲得。勝ち点「4」を加えて合計勝ち点を「8」に伸ばし、2位につけた。次節は1月11日、夢の島競技場で日本製鉄釜石シーウェイブスと対戦する。

夕暮れの空の下で勝利を喜ぶブルーシャークスの選手ら

 ラストワンプレーを告げるホーンの音色が茜色に染まり始めた空に響き渡る。41-33と8点のリードを保っていたブルーシャークスの勝利は確定していた。それでも、夢の島競技場に詰めかけた2579人の歓声に背中を押された選手達の足は最後の瞬間まで止まることはなかった。試合終了間際、自陣22メートルライン付近での激しい攻防が続く。ボールを持って突進してきた相手選手に金築が素早くタックルを仕掛けた。直後に日髙が豪快に圧力をかけて九州電力の形成しようとしたラックを崩壊させると、主審の笛がノーサイドの甲高い音を鳴らした。ブルーシャークスは気迫溢れる守備で最後のブレイクダウン(タックル成立後のボールの奪い合い)を制し、開幕2連勝とともに待望の本拠地初勝利。尾﨑バイスキャプテンは「ホームで多くのファンが応援してくれる中で、最後まで気持ちを切らさず戦えた」と胸を張った。

前半1分、トライを決めてチームメートと喜ぶバンワイク

 開始1分で進化を証明した。この日の対戦相手である九州電力とは2シーズン前のD2/D3入替戦で対戦し、夢の島競技場で0-48の完敗。本拠地での無得点での敗戦がディビジョン3への降格に繋がった。しかし、フィールド上のブルーシャークスはもはや「あの時」のチームではなかった。ゴールから10メートルの左サイドで安定したラインアウトを成功させると、力強いモールで圧力をかける。そこから金築がソポアンガにパスを通し、流れるように右に展開。最後はバンワイクが中央にトライを決めて会場を沸かせた。その後も前半12分までに2トライを追加し、試合の主導権を掌握。難しい序盤のプレッシャーの中でも揺るがない基礎を磨いてきた結果だった。「選手とスタッフ1人1人が本当にハードワークしてくれて、その結果がこういった形になったのかなという風に思います」。仁木監督はチームの成長に目を細めた。

 リベンジではない。それぞれのプロフェッショナルとしての矜持が勝利への原動力だった。「九州電力に対して特別な思いはあるのか?」立川はその問いに対して静かに首を振った。「どんな相手でも、どの試合でも全力で頑張るのが良い選手だし、信頼される選手だと思います。自分はそういう選手を目指しています」。5本のコンバージョンキックと1本のペナルティゴールを決めてこの試合のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた元オールブラックスのソポアンガもまた自身の思いをこう語る。「前節の開幕戦では自分の武器のキックが不甲斐なくて悔しかった。だから他の選手が見ていないところでも練習して自信をつけてきたんだ」。右膝を負傷した昨シーズンの開幕戦以来の公式戦出場となったジョシュア・バシャムは、ケガに対する恐怖心と戦いながらも、復帰までサポートしてくれたチームのために体を張った。練習ではノンメンバー達が仮想九州電力を全うし、フィールドに立つ選手達を全力で支えてきた。この試合に懸ける思いはそれぞれだったが、根底には共通して勝利に対する強い渇望が流れていた。選手達は低くて強いタックルを連発。ボールの奪い合いの局面では果敢なアプローチを徹底した。「後半20分を過ぎた頃からインカム越しに『足攣った!』という声が次々と聞こえてきた」と仁木監督は苦笑いするが、どんな状況でも戦い抜く覚悟の下に結束した選手達は強かった。最後まで走り切り、タフなゲームをものにした。

後半3分、金築がトライを決める

 次戦は1月11日。本拠地・夢の島競技場に日本製鉄釜石シーウェイブスを迎える。「この1勝はとても大きい価値があるので、そこは素直にみんなで喜びたいと思います。ただ、まだまだ長いシーズンは始まったばかりなので、一喜一憂しないで、次の試合に向かってやっていきたい」と尾﨑バイスキャプテン。会社員としてフルタイムで働きながらプレーする選手が大半を占めるブルーシャークス。だが、彼らを単純に「サラガーマン」のチームと形容するのは、もはや相応しくないのかも知れない。このチームを構成するのは誇り、向上心、そして勝利への強い意志を持った選手とスタッフたち。リーグワンの舞台にまた一つ、志士が集うチームが誕生した。

西日に照らされたフィールドでスクラムを組むブルーシャークスの選手


仁木監督、尾﨑バイスキャプテン会見

試合後の円陣で選手を称える仁木監督

質問者:本日の統括をお願いします。

仁木監督:まず初めに、今日夢の島での開幕戦にあたりご尽力していただきました皆様、関わってくださった方々、本当にありがとうございました。2シーズン前にここ夢の島での入替戦において48対0で九州電力(キューデンヴォルテクス)さんに負けて、そこがスタートだと思っておりましたけども、今回2年越しにリベンジが果たせて本当に嬉しく思います。ありがとうございました。

尾﨑バイスキャプテン:まずはホームゲームに携わってくださった皆様、ありがとうございました。 僕らとしては九州電力戦はキックゲームになるということが元々わかっていましたので、その中でどうやって勝つかというところでした。ブルーシャークスのノンメンバーで作るゲームチーム「サンバチーム」が仮想の九州電力を練習でやってくれて、そのおかげで良い準備ができたので、入りから良い試合ができたかなと思っています。

質問者: ゲームプランがあったと思いますが、上手く行った部分と予測できなかった部分をどのように捉えていますか。

仁木監督:夢の島は風が非常に強い競技場なんですが、今日来てみると無風でした。だからクリップス ヘイデンやリマ・ソポアンガの中で色々と考えが変わったかもしれませんが、皆ベテラン選手なので、今日のグラウンドや風を含め気候に合わせてやってくれたのかなと思います。吉廣ヘッドコーチを含めてスタッフがしっかり相手を分析してくれて、選手がそれをきちんと体現して遂行してくれた結果かなと思います。

尾﨑バイスキャプテン:九州電力さんはブレイクダウン(タックル成立後のボール争奪戦の総称)のところがすごく激しいと前々からわかってたので、そこに対して僕らがどれだけプレッシャーをかけられるかという所が重要だったと思っていました。そこがうまくハマってこういうゲームにできたのかなと感じています。

攻め込む尾﨑

質問者:ハーフタイムには選手にどのような声をかけられましたか。

仁木監督:そうですね。準備や気持ちの部分もあって前半で良い入りをさせていただいたんですけど、九州電力さんのことを考えるとこのまま最後までは行かないということがよくわかってました。だから後半は「0対0の気持ちで行く」ということと、「開始からの10分を意識する」ということ、あとはまだリザーブを使っていなかったので、「無理になったら手を挙げてもいいというくらいの覚悟で、開始10分に賭けてくれ」という話をしました。

質問者:尾﨑選手は前半に1トライを記録しました。

尾﨑バイスキャプテン:皆が繋いでくれて、僕は本当にトライするだけでした。全員がハードワークした結果でトライに結びついて良かったです。

質問者:チームとして初めてのディビジョン2でのシーズン2勝、またホームゲームでの初勝利を達成しました。

仁木監督:2シーズン前の入替戦で負けた時、夢の島に来てくださっていた多くのファンの方々のがっかりした顔を見てましたので、今回ファンの方々を笑顔で最後お見送りできたっていうことが良かったです。

尾﨑バイスキャプテン:めちゃくちゃ大きい価値がありますので、そこは素直に皆で喜びたいと思います。ただ、まだまだ長いシーズンは始まったばかりなので一喜一憂しないで、また年明けから次の試合に向かってやっていきたいと思います。

質問者:一喜一憂しないというお気持ちがある中で、勝つことはチームにとって大きい意味があると思います。

仁木監督:私は常々「満足は成長を妨げる」と思っています。満足の中に過信や自信があると思いますが、自信は自信として次に繋げて、過信には絶対ならずにいたいと。喜ぶのは今日までにして、明日以降はしっかり次戦を見据えて選手もスタッフもやってくれるんじゃないかなと思ってます。こうやって勝って反省するというのがチームとしても1番良い雰囲気を維持したまま次に向かっていけるので、そういう部分に関しては非常にプラスなのかなと思います。

尾﨑バイスキャプテン:もちろん負けるより勝つ方が絶対良いです。ただ、先日の日野(レッドドルフィンズ)戦も今日の九州電力戦もどっちが勝ってもおかしくない試合で、少しでも過信したら負ける相手だったかと思います。そこで勝って反省できるということをポジティブに考えて、次に向かってやっていきたいなと思っています。

質問者:尾﨑選手は2シーズン前の入替戦にも出場されていましたが、今日はどのような思いで臨まれましたか。

尾﨑バイスキャプテン:チーム内でも競争が激しく試合に出るのが当たり前ではない中で、メンバー入りさせてもらえることはやはり責任があります。前回の入替戦も今日の試合も、体を張るなど常に先頭に立ってやっていかなきゃいけないなという風には思っています。

質問者:以前より成長を感じられている点はありますか。

尾﨑バイスキャプテン:やっぱり試合を重ねていくと1人1人のプレーが噛み合っていきますし、連携がどんどんうまくできるようになってきてると感じます。

質問者:2シーズン前の入替戦では無得点で敗れましたが、今回の対戦で早めに点を取れましたね。

仁木監督:アップの時に若干静かだったり、なかなかコミュニケーションを取れてないなって部分も見えてたんでちょっと心配してたんですが、入ってみて実際にプレーするとそんな雰囲気は微塵もなかったですね。選手とスタッフ1人1人が本当にハードワークしてくれて、その結果がこういった形になったのかなという風に思います。

尾﨑バイスキャプテン:2シーズン前の入替戦で負けた試合には僕も出てたんですけど、 その時はやっぱり最初の入りがすごい悪くて、そこからもう何もできない状態で負けたっていう印象がありました。その時の経験から試合の入りがすごい大事だと思ったんですが、今日は最初に3トライ連続で取れたことで流れを引き寄せられました。それが勝因かと思います。

質問者:今日は体力的にしんどい試合だったのかなと思いますが、最後まで低いタックルやハードワークを続けられた要因は。

尾﨑バイスキャプテン:気持ちの部分が大きかったと思います。たぶん両チームともすごくしんどい試合だったと思うんですけど、ホームゲームで試合に出ないメンバーやファンの人たちもたくさん応援に駆けつけてくれたんで、そこがすごく力になりました。

質問者:練習でノンメンバーの選手たちのテンションが高いことが印象的でした。

尾﨑バイスキャプテン:そうですね。僕らは飛び抜けてる選手っていうのはそんなにいなくて、誰が試合に出てもおかしくないチームだと思います。「アピールした選手が試合に出られる」とコーチ陣からいつも言われているので、「全員でこのシーズンを乗り越えていく」「どこかで絶対にチャンスはある」ということを皆が分かっています。それがノンメンバーのモチベーションになっているかなと思います。

後半のピッチに向かうブルーシャークスの選手

 質問者:今日はフィジカルのところで少し押し返されてしまう場面もありました。次戦に向けての修正ポイントを教えてください。

仁木監督:ある程度プレシーズンマッチの頃からの失点パターンがありました。ペナルティでミスをして、エリアに入れられて、モールで取られるっていうパターンだったと思います。ここに関しては絶対改善しなきゃいけないですし、次の(日本製鉄)釜石シーウェイブスも必ずそこを狙ってくると思いますので、今シーズン通してここが1番の課題になってくると思います。

尾﨑バイスキャプテン:僕らはアタックにはすごく自信がありますが、自陣でのディフェンスに関してはなかなか出来ていないところがあります。この試合でも九州電力さんの強みであるモールを出させてしまったと思うので、そこをどれだけ修正できるか。そして1人1人がペナルティをしないということは意識のところで変えられると思うので、次の練習からやっていきたいと思います。

質問者:ジョシュア・バシャム選手など今日初出場の選手の評価と、選手交代のタイミングの監督の狙いを教えてください。

仁木監督:ジョシュアは去年に膝の大怪我をして今シーズン初めに復帰してきたんですけど、またそこで怪我をして、そこから復帰してきたのがおそらく11月末ぐらいだったと思います。そこから練習でのプレーのパフォーマンスはエナジー(高揚感や士気の高さ)を含めて誰よりも良くて、彼の思いがひしひしと感じられたものですから、やってくれるだろうという風に見ていました。今日は色んな思いを背負ってピッチに立ったと思いますけど、本当に素晴らしい活躍だったと思います。また、交代のタイミングに関してですが、うちは結構若い選手も多いように見えますけどベテランだらけなんで、後半20分ぐらいからインカムを通して「足攣った!足攣った!」という声が多かったんです(笑)。私はコーチ陣の後ろでやり取りを見ていて、ちょっと違うなと思った時にぽろっと言うぐらいなのですが、コーチ陣がコミュニケーションをよく取ってしっかりやってくれていました。ただ、難しかったですね、今日は。

質問者:今日の試合は沢山の方が来場されていましたね。

仁木監督:そうですね。江東区で活動を始めて4シーズン目になりますので、地域の方々にちょっとずつではありますけど認知をしていただいた結果かなと思います。スタッフはファンの方々に来てもらうためにどうするかと毎日考えて、新しい試みを色々したりして本日の開幕戦を迎えてくれたと思います。

質問者:尾﨑選手は先程ファンの方々の応援が力になったと仰っていました。ファンの方々にどういったプレーを見せたいでしょうか。

尾﨑バイスキャプテン:やっぱり選手として大人数の観客の方の前でプレーできるっていうのは本当に誇らしいことですし、嬉しく思いますし、モチベーションにもなります。僕はバイスキャプテンという立場で誰よりも体を張らなきゃと常に思っていますが、今日はタックルがたくさんできたのでその点は良かったかなと。

仁木監督:本当に良いプレーをしてくれました。こんなに良いプレーをしてくれるんだったら、もっと前から見せて欲しかったですね(笑)。こんなにタックルした尾﨑は初めて見ました。

尾﨑バイスキャプテン:録音されてる、録音されてますよ(笑)。

質問者:次の試合に向けた抱負をお願いします。

仁木監督:14分の2を勝ったっていうところでまだまだ12試合あります。ここで一喜一憂せずに、1戦1戦スタッフも選手も含めた全員でステップアップしていきたいなと思います。

尾﨑バイスキャプテン:2勝してチームとしても勢いが出てきてると思うので、その勢いは落とすことなくいきたいですね。過信することなく反省するところは反省して、ポジティブなところは伸ばしていきたいなと思います。


◇リマ・ソポアンガ選手インタビュー(スタンドオフとしてチームの攻撃をリード、キッカーとしても11得点を挙げてプレーヤー・オブ・ザ・マッチ)

献身的な守備を見せるソポアンガ

質問者:本日の総括をお願いします。

ソポアンガ選手:良いスタートダッシュが切れて、その勢いを離さず、試合全体を通して相手に対して色々な局面で勝ててたかなと思います。後半ちょっと勢いを取り戻されそうな時間はあったんですけど、でも、そこは上手く勢いをキープできたのかなと思います。

質問者:今日は相手のプレッシャーもかなり激しかったかと思います。プレーで気をつけた点は。

ソポアンガ選手:ものすごく沢山レビューをしましたし、沢山の動画を見たので、相手がやってくることは全部頭入っていました。それらを頭に入れた上で、あとはもう緊張せず、試合の日になったら楽しむことだけを考えてたので、あまり相手のプレッシャーは強く感じなかったです。

質問者:今日はソポアンガ選手のキックが素晴らしかったです。前節の日野(レッドドルフィンズ)戦ではとても悔しい思いをされたんじゃないかなと思いましたが、どのような点を改善してきたのでしょうか。

ソポアンガ選手:仰る通り前回の試合はすごくダメでした。そこが自分の武器なのに上手く出来なかったことに対して相当悔しい思いがありました。だから見られてないところでも沢山練習をして、自信をつけ直して今回の試合に臨みました。その結果として努力が報われて良いキックができたんじゃないかなと自分的にも思ってるので、嬉しいです。

質問者:昨シーズンのホーム開幕戦ではソポアンガ選手本来の出来ではなかったように思いますが、その時から約1年後の今回のホーム開幕戦でプレーヤーオブザマッチに選出されました。チームにフィット出来た要因を教えてください。

ソポアンガ選手:私はイングランドとフランスのチームを経験してきて今は日本でプレーしていますが、苦労する時期が必ずあります。国によって文化や言語や考え方が全部違うので、自分は外国から来てプレーしている分、どうしても少し時間はかかります。日本では言われたことをやり通すことを良しする面があると思いますが、それについて納得してできるまで時間がかかりました。というのも、どうしても自分を表現したい気持ちがあるし、そこの食い違いは最初ありました。そこについてお互い時間をかけて知ることで、そういった日本のスタイルの中でプレーしながらも自分を表現するという点がうまくできてきたのかなと。それが良い結果に繋がったと思います。そのおかげで2連勝という最高のスタートも切れましたし、とても満足しています。

質問者:今はブルーシャークスというチームにフィットして、自分らしくプレーできているという手応えがあるということでしょうか。

ソポアンガ選手:間違いなく自分を表現できていると思います。相手にもその分、分析されてよく見られている意識があるので、どれだけチームを引っ張れるかを今考えています。特に冷静さだったり我慢強さはやはりチームを引っ張っていく上でここから必要になってくるかなと思います。というのも、ブルーシャークスの日本人選手たちは毎日仕事とラグビーとを両立して、本当にハードワークしてくれていて、それがすごい刺激になってますし、自分はラグビーしかやってない分、そういったところでチームを引っ張っていけたらなと思っています。

質問者:チームとしては2シーズン前の九州電力との入替戦で悔しい思いをしていました。そのような状況の中で、ソポアンガ選手はどんな思いで試合に臨まれたでしょうか。

ソポアンガ選手:もちろんそういう歴史があったのは知ってました。ファンにとってもチームメイトにとっても会社にとってもすごく重要な試合っていうのは分かっていたので、それをしっかり行動でリードできるようにこの試合には臨みましたし、それがすごく良い結果に繋がりました。仁木監督もすごく嬉しそうでした。仁木監督がハッピーなのがチームとしてもハッピーということなので、今回はそれが達成できてすごく満足してます。

後半4分、コンバージョンキックを決めるソポアンガ

質問者:ソポアンガ選手は普段から他の選手やスタッフに敬意を持って接しているように見えます。そのように振る舞うようになったきっかけはありますか?

ソポアンガ選手:いつからリスペクトを持ち始めたのかはちょっとわからないのですが、やはり外国人としてチームに参加している分、日本の文化をどれだけ尊重できるかというのが始まりだと思います。日本の素晴らしい文化の1つに他人を思いやるということがあると思いますが、帰国する時には自分もそこの国の文化を覚えた上で帰りたいと思ってるので、できるだけ他人を理解して学んで、他人も自分から何かを学んでくれたら嬉しいなという気持ちでいつも接しています。

質問者:今日は勝利してホームのファンの笑顔が見られました。感想をお願いします。

ソポアンガ選手:本当に嬉しかったです。ファンの方々はお金払って見に来てくれてるので、どうしても勝利を届けたかったですし、ファンだけでなくチームメイトも含めてこうして皆が笑って終われるっていうのは本当に最高でした。開幕から2連勝して良い勢いを作れましたし、皆で笑って次に臨めるっていうのはすごく大きい。また次の釜石戦から始まる連戦に備えたいと思います。
質問者:もうすぐお正月ですが、ニュージーランドに帰国されますか。

ソポアンガ選手:家族がこっちに来ているので帰国はしないですね。家族サービスの時間に使おうと思っています。妻を少し休ませてあげたいので、自分が子供を連れて遊んだりしようかと思ってます。ただどこか出歩いたりはせず基本的には家にいると思います。日本はどこも混雑していますし、列もすっごく長くて僕には並べない(笑)。30分が限界です。日本人は忍耐が強すぎます(笑)。

質問者:日本で過ごす初めてのお正月ですか。お正月の文化で楽しみたいと思っているものはありますか。

ソポアンガ選手:そうですね、去年はニュージーランドに帰ったので、今年は日本で初めて過ごす正月になります。人が多すぎるので初詣には行けないです(笑)。六本木に行こうかな…いやいや冗談です(笑)。お正月の文化に関してはあまり詳しくないので特に予定はないですね。子供達が好きなのでサーティワン(アイスクリーム)には行きたいです。毎日連れて行ってくれってせがまれるんです。お餅は…正直に言うと、あまり僕には合わなかったです。試したことはあるけど、小豆も合わなかった。日本の食べ物で合わなかったのはこの2つだけですね。ドーナッツには小豆でなくチョコを入れて欲しいな(笑)。


◇ジョシュア・バシャム選手インタビュー(右膝のケガから復帰して約1年ぶりの公式戦出場)※取材日2025年1月4日

九州電力に勝利し、花道でファンを見送るバシャム

質問者:先発した九州電力戦は昨シーズンの開幕戦での膝のケガから復帰して約1年ぶりの公式戦でしたね。

ジョシュア・バシャム選手:昨シーズンの開幕戦でケガをしましたが、復帰直前のプレシーズンマッチの時にまた足首を負傷してしまいました。今回また戻って来られて、無事に試合を終えることができてすごく安心しました。この1年はチームの皆がすごくサポートしてくれたので、自分が九州電力戦で100%を出し切ることで恩返しできたのかなと思います。勝つことができて良かったです。

質問者:ケガからの復帰戦ということで恐怖心もあったかと思いますが、どのように乗り越えましたか。

ジョシュア・バシャム選手:子どもの頃から長い間ラグビーをやってくる中で怪我はつきものかなと思っているので、誰にしてもやはり少しの恐怖心はあると思います。自分としてはピッチ上で自分が何ができるのかという役割に集中して練習に取り組むことでその恐怖を乗り越えてきたかなと思います。あとはそうして少し緊張したり恐怖心があると言うのは、自分がラグビーのことを大切に思っている、ちゃんと考えているということからくる感情だと思うので、そういう気持ちを持つことも大事かなと思います。


フィールド上で気合の入った表情を見せるバシャム

質問者:イングランドの年代別の代表ではキャプテンを担っていました。ブルーシャークスでもディフェンスリーダーとしてチームを引っ張っています。この異国の地でもリーダーシップを発揮できる秘訣はなんでしょうか。

ジョシュア・バシャム選手:色々な環境での経験がたくさんあるので、そういうところから少しずつ学んで、リーダーとしての自分というのを作り上げてきているかなと思います。異国の地でという部分に関して言えば、言語の壁があることで日本語や英語で伝えたものが全て通じるわけではないので、そういう部分はアクションで伝えるということを心掛けています。「練習で100%を出し切ろう」ということから、「ミーティングでは絶対ノートを持ってメモを取ろう」「ハドル(試合中に選手たちが集まって戦術を相談する場面)に行く時にちゃんと走って集まろう」など、そういった細かいところまで気にしながら伝えるようにすることが大切かなと思っています。

質問者:日本のお正月は楽しめましたか。

ジョシュア・バシャム選手:(日本語で)はい、楽しかったです。めっちゃ楽しかった(笑)。家族がこちらに来ているので、家族と時間を過ごすことができて良かったです。良いオフが過ごせたと思うので、また次の試合に向けて100%を出し切れるように頑張りたいです。