◇狭山セコムラガッツ戦マッチレポート

清水建設江東ブルーシャークスは5月24日、夢の島競技場(東京都)で行われた「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 ディビジョン2/3入替戦」に臨み、ディビジョン3・2位の狭山セコムラガッツと対戦。ホームでの第1戦を17-15で制し、先勝を飾った。この結果、ブルーシャークスは勝ち点4(勝利)、セコムラガッツは勝ち点1(7点差以内の敗戦)を獲得。入替戦はホーム&ビジター方式の2試合制で、2試合合計の勝ち点により残留・昇格が決まる。第2戦は5月31日、セコムラガッツのホームである海老名運動公園陸上競技場(神奈川県)で行われる。
またひとつ、壁を乗り越えた。トゥイトゥポウのトライで15-15の同点に追いついた試合終了間際。後半途中でピッチを退いたスクラムハーフ・金築は、左サイドの難しい角度から勝ち越しのコンバージョンキックに臨むバンワイクの横顔を、ベンチから特別な思いで見つめていた。仲間たちと肩を並べるその視線の先、チーム随一のキッカーが放った左足の一蹴は、静かに、美しい放物線を描いてHポールの間を抜けていった。その瞬間、金築は思わず大きく手を叩いた。

2週間前、シーズン最終戦となったホームでの日野レッドドルフィンズ戦の最終プレーで、自らのパスがわずかに浮き、逆転負けにつながる結果となった。その責任を痛感しながらも、チームの誰もが彼を責めなかった。「80分間よく頑張ってくれたね」。かけられた言葉に背中を押され、前を向いた。自分には信頼してくれる仲間がいる。再び託された先発の座。だからこそ、この勝利の瞬間は誰よりも深く胸に刻まれた。「絶対に勝たなければいけない試合で結果をつかめた。それが一番大きいです。今日しっかり勝ち切れたっていうのは本当にほっとしました」。チーム2年目の23歳の若き司令塔。この一戦に賭けていた思いも、真っ直ぐな人柄も、その短い言葉に詰まっていた。

気持ちはプレーにも表れていた。7-7の同点で迎えた前半11分、ハーフラインから左サイドを駆け抜け、一気にトライを狙った相手ウイング・藤原に対し、金築は強烈なタックルを仕掛けた。突破されていれば試合の流れが相手に傾きかねないピンチを一撃で断ち切った。「スクラムハーフがそんなにタックルしに行くっていうのはどうなんだろう…」と本人は試合後に笑ってみせたが、謙遜の裏にあるチームを背負う強い意志と覚悟は誰の目にも明らかだった。そしてこの試合に限らず、彼はその闘志で幾度となくチームを救ってきた。
「(金築)達也は本当に、日々真面目に仕事にも練習にも取り組んでくれています。今シーズン、めちゃくちゃ成長してくれていますし、伸びしろは無限大だと思っています。日野(レッドドルフィンズ)戦の悔しさを自分自身でかなり感じている顔をしていましたので、必ず糧にしてくれると信じていました」と、仁木監督は語る。攻守のあらゆる局面で全力を尽くすこと。そして何より、金築は自分の失敗を素直に認め、その悔しさをきちんと言葉にして伝えることができる。自分の弱さを口にするのは、誰にとっても簡単なことではない。けれど彼は、そこから逃げなかった。金築の成長とチームメートたちからの信頼は、そうした姿勢の積み重ねによって生まれてきた。

気持ちを共有する同じポジションの仲間との別れが、勝利への意志をさらに強くした。今季限りでチームを退団するハミントンが膝の手術のためにこの試合の翌日にニュージーランドへ帰国した。U20ニュージーランド代表として世界を経験してきた34歳のベテランは、ブルーシャークスでの時間を通じて、若い選手たちに影響を与えてきた。とりわけ、スクラムハーフとして共に過ごしてきた金築と臼井にとって、その存在は特別だった。
金築にとって、ハミントンは常に「声をかけてくれる」存在だった。試合後には「めっちゃ良かったよ」と率直に評価してくれた。練習後には、プレーについての具体的なフィードバックをくれた。自分のプレーを客観的に見て、的確に伝えてくれる存在がそばにいるという事実は、金築にとって大きな支えだった。一方、臼井にとっては、「プレーに関して本当にいろいろ教えてくれた」存在だった。チームに入ってきたばかりの頃から、ハミントンは技術的な面で多くのことを伝えてくれた。その教えは今も臼井のプレーの土台となって息づいている。

試合2日前の練習の全体ミーティングで、ハミントンは最後のメッセージを残した。「昼も夜もハードワークしている日本人選手を心から尊敬しています。僕がこのチームに来たのは3年前。その頃から比べて、チームは本当に成長した。それは、皆が成長に値する努力をしているからだと思います」。その言葉を聞いたとき、金築は自分がやってきたことをハミントンに認めてもらえていたのだと感じた。臼井は「この試合は絶対に勝たなければならない」と、自然と気持ちが引き締まった。
後半、金築がピッチを退いたあと、そのバトンを引き継ぐようにして臼井がスクラムハーフの位置に入った。チームは1トライ差で追いかける展開。残り時間が少ない中、臼井は冷静にボールをさばき、左サイドでフリーになっていたトゥイトゥポウへと展開した。その一連の流れが同点トライを生んだ。金築が築いたリズムを、臼井が形にする。2人で担ってきたスクラムハーフの仕事が、この試合の終盤で確かに結実した。

「最後までケインと一緒にいられないのは寂しいですけど、チームのことをきっと応援してくれると思います。入替戦の2戦目も勝って、来季もディビジョン2で僕たちが戦っている姿をこれからも見ていてほしいです」と金築は語った。今のブルーシャークスには、選手同士が互いの努力や姿勢を認め合い、リスペクトを言葉にして伝え合う文化が根付いている。失敗も、成長の過程として受け止め、仲間の奮闘を称える。だからこそ、苦しい場面でも前を向ける。互いを信じて重ねてきた日々が、ブルーシャークスを強くした。そして、このタフなゲームを通じてチームはまた一歩、未来への歩みを進めた。幾つもの壁を乗り越えて迎える今季最後の戦い。自分たちは、どこまで強くなれたのか。その答えは、すべての覚悟を懸けた80分の先にある。
◇仁木監督、立川ゲームキャプテン会見

質問者:本日の総括をお願いします。
仁木監督:まず初めに、開催にあたりご尽力いただきました関係者の皆様、本当にありがとうございました。夢の島でようやく勝つことができて少しほっとしています。ただ内容が勝っただけの2点差というところで、本当にセコムさんの素晴らしいラグビー、ディフェンスの受けに回ってしまった結果かなと思っています。ただ勝って反省ができるというところで、次に繋がったかなと思います。何が何でもディビジョン2に残留することを目標にして、来週1週間勝って反省をしながら過ごしていきたいなと思います。本日はありがとうございました。
立川選手:まずは開催にあたりご尽力いただいた関係者の方々に感謝を申し上げたいと思います。入替戦として急遽試合が決まった形でしたが、本当に素晴らしい環境を用意してくださったと感謝しています。試合内容としては、入替戦というプレッシャーや、セコムさんの強い気持ちのところをかなり受けてしまった点があったんですけれども、最終的に内容はどうであれ勝ち切れたってことはすごくチームの成長を実感できる試合だったかなと思います。

質問者:今日の試合は早い時間での選手交代や退場など様々な事が起きました。想定していた部分と想定外だったことを教えてください。
仁木監督:想定外は左にいる人(立川選手)が早々とピッチから去ったってことじゃないですかね(笑)。
立川選手:自分でも言おうと思ってました…。
仁木監督:ただその後に田森(海音)がしっかりラインアウトも含めて抑えてくれましたので、プラスで言えば田森の成長に繋がったのかなと。セコムさんが本当にただひたむきにディフェンスをしっかり一生懸命やってきたところに若干受けてしまって、駒がいなくなっていうところが予定外の部分につながったと思います。ただ、我々も全体を通してエリアはほとんど取れたと思いますので、ここは評価するところかなと思っています。
質問者:ハーフタイムでは選手にどのような声をかけたのでしょうか。
仁木監督:そうですね。先手必勝ということをディビジョン3の頃から言い続けてきたので、まずこれは一番初めに言いました。それと、受けに回ってしまってた部分もあるように見えたので、特にまだまだ走れる顔をしていた安達航洋に「自分が引っ張っていくぐらいで、一歩二歩前に出てディフェンスしてこい」って話はしました。あとはコミュニケーションを取ったり、チームでプレーとして乗るところに対して選手全員で反応しましょうということ。誰かやってくれるだろうとか、ちょっとしんどいからということはやめて、自分でやるんだよというところ。この3つをハーフタイムで声かけさせてもらいました

質問者:入替戦2戦目に向けてどのような準備をしていきますか。
仁木監督:もう積み上げてきたものが全てだと思いますから、だからといって来週用のプレーをする必要もないと思いますし、ディビジョン2でやってきた自負は我々全員持ってますので。だけどやっぱりディビジョン2に上がろうとするセコムさんの力や気持ちが全面に出てくると思いますから、それを受けてしまってはいけないと。もう気持ちの部分が全てだと思いますので、この1週間はそこにフォーカスしながら、ピークを来週の試合に持っていければいいのかなと思います。
質問者:シーズン最後の2戦では終了間際で点を取られて勝ちきれない試合が続きました。今回はその逆の展開になりましたが、前の2戦と比べてどこが改善されたのでしょうか。
仁木監督:どこが違うのかちょっと難しい部分もありますけど、今日の試合に関してだけ言えば、やっぱりもう意地だったんじゃないかなと思います。今シーズン、ディビジョン2で近鉄さん(花園近鉄ライナーズ)にも勝利したことで、上位でも戦えるっていう認識は全員が持っていたはずなので、もうここは意地だと思いますね。意地で取り切ったトライで、クーニー(コンラッド・バンワイク)も(コンバージョンキックを)意地で入れてくれたってところだと思います。本当にクーニーには感謝ですね。

質問者:想定外のことが多かった試合でしたが、そのような状況でも選手が自ら考えながら動いてプレーできているように見えました。そういった力はどのようなトレーニングや準備から出てくるものでしょうか。
仁木監督:仕事とラグビーを両立させる中で、ラグビーの練習に行くためには仕事をどうやって定時で終わらせるかということに日々追われ考えながらやっていると思います。それは主体的に色々なことを考えながらやらないとできないので、その主体性が今回出てたのかなと。外国人選手もこういった日本人選手の状況をリスペクトしてくれていて、午前中のセッションに対しても厳しく、時間をかけてやってくれてます。日本人選手が仕事でグラウンドに来るのが遅れた時は先にコーチとセッションしたり、課題をしっかり確認し合ったりしてますので、全員が日常から主体的に動くことを心がけている結果がこういう時に出たのかなと思います。
質問者:シーズン終了後から本日の入替戦の間でラインアウトがかなり安定したように見受けられました。どのような改善があったのでしょうか。
立川選手:まずは1人1人の役割を遂行することを徹底してきたというところだと思います。投げる、飛ぶ、持ち上げる行為を細かいところまでやりきる点は見直しました。ルーティンどおりにしっかり狙って投げる、飛ぶ時のタイミング、上げる時にはつま先立ちになるくらい上げ切るということなど、各自の役割をしっかり意識した結果が今日の結果に繋がったかなと思います。
質問者:練習の時から選手同士がコミュニケーションをよく取っている姿が見えました。コミュニケーションの量も質も高まりましたか?
立川選手:高まったと思います。ミスした時にどういったところに要因があったのか、その場で言い合うようにしたので、そこはすごく改善に繋がっていると思います。

質問者:今日出場したスクラムハーフの金築(達也)選手と臼井(礼二朗)選手の評価を教えてください。
仁木監督:達也に関しては本当に日々真面目に仕事にも練習にも取り組んでくれてます。達也は今シーズンめちゃくちゃ成長してくれてると思いますし、伸びしろは無限大だと思っています。(シーズン最終戦の日野レッドドルフィンズとの試合の)悔しさを自分自身でかなり持ってる顔をしていましたので、必ず糧にしてくれるかなと思っていました。礼二朗は今シーズンスタメンで使われる機会があまりなかったかもしれないですけど、彼が後ろにいてくれたら安心して送り出せるんで。スタメンで出たい気持ちはもちろんあると思いますけど、役割をしっかり果たしてくれてるんじゃないかなと思ってますね。スクラムハーフの全員が切磋琢磨してるのを練習中きちんと見ていますよ。

質問者:次の試合が今季最後の試合になります。どういうプレーを、どういうチームの姿を見せたいですか。
仁木監督:そうですね。今日みたいな胃が痛くなる試合は嫌なので、しっかり前半から受けずに、一歩でも二歩でもディフェンスで前に出て、勇敢に戦ってほしいなと思いますし、戦う準備をしたいなと思っています。やっぱり気持ちの部分って見てたら伝わるものだと思ってますし、逆にそういった気持ちを見に観客の方は来て下さっていると思います。そういった気持ちを見せる場は今シーズンは来週しかないので、気持ちをしっかり見てもらって、来シーズンひょっとしたらディビジョン1に昇格するんじゃないかと思ってもらえるようなプレーをしっかりしたいなと思っています。
立川選手:2つあって、まず1つは監督がいつも仰ってるメンタルのところですね。勝ちたい、もっと強くなりたいという気持ちが伝わるプレーをまずは見せたいということです。もう1つは、今年掲げているスローガンである「ユニットプライド」というところで、フォワードとバックスのユニットや、もっと細かいセクションのユニットはたくさんあるんですけども、こだわってきたユニットプライドをしっかりグラウンドで表現したいです。
◇臼井礼二朗選手、金築達也選手一問一答(プレッシャーのかかる試合でチームを勝利に導いたスクラムハーフ2人)

質問者:本日の試合の振り返りをお願いします。
金築選手:前半から相手のディフェンスが良くて、こっちのやろうとしたことができず、リズムに乗れなかったというところがやっていてしんどかったです。やっぱり最後の22メートルラインに入ってからのトライを取り切るところ、フィニッシュの部分がうまくいかないと、ゲームとしてはしんどくなります。来週、もう一回試合があるので、そこはしっかり解析して改善していきたいと思います。
臼井選手:2年前、ディビジョン2と3の入替戦を九電(九州電力キューデンヴォルテクス)とやって、その時は0-48で負けたんですけど、その思い出がずっとあったので、試合を通して全てうまくいくイメージは元々なかったんですけど、やっぱりうまくいかない時間が今日も多かったです。その中で皆んなが体を張って、(退場者が出て)14人になった時でも前半トライされずにやっていたので、これはずるずる負ける時のゲーム展開じゃないと自分の中で思いました。最後にどうやって試合を締めるかってところを考えながら、今日はやりました。最後にクーニー(バンワイク)が(コンバージョンキックを)決めてくれて勝てたんですが、入替戦っていうのは思った通りにはいかないと今日改めて思いました。

質問者:シーズン最後の2試合は試合終了間際に点を取られて勝ちを逃しましたが、今日は終盤に逆転で勝利しました。スクラムハーフとして、どういう風にゲームをコントロールしようと思っていましたか。
臼井選手:自分が(ピッチに)入った時は負けていて、残り時間が10分もなかったので、先にトライするところを目指してオーガナイズしながらプレーしました。前半に焦ってミスしたり、ペナルティーを取られたりしてトライを取れていないところがあったので、チームを落ち着かせながら、ゴール前はしっかりボールキープするところを意識していました。最後に外側に選手が余ってるのが見えて、そこに展開してトライが取れたので、完璧ではなかったですが、自分が思った通りのプレーができたと思います。
金築選手:今日は負けられない試合というプレッシャーは多少はありましたが、シーズンの最後の2試合のラストワンプレーについては、チームとしては引きずらずにこの試合に臨めたと思います。試合の終盤ではボールをまずキープして勝ち切るってところは、全員共通認識があったと思います。自分たちがその2試合で相手にやられたことですけど、今日は逆にうちがやったという面では、前の2試合の経験は生きたかなっていう感じですね。

質問者:試合の終盤で相手がどうされたら嫌かっていうことを身をもって分かってきたのでしょうか?
金築選手:そうですね。今日は僕らがやられたことを逆にやり返した感じになりました。もちろん理想の内容ではなかったですけど、今日は絶対に勝たないといけない試合だったので、最後結果がついてきた、勝ちきれたっていうのは一番大きいところかなと思います。
質問者:日野レッドドルフィンズとのシーズン最終戦で敗れて入れ替え戦が決まりました。どのように気持ちを切り替えてこの試合に臨みましたか?
臼井選手:気持ちを切り替える上で自分が一番大きかったと思うのは、先日の日野戦で最後逆転されて負けた後の監督の言葉でした。監督は「もっと前を向け」「落ち込んでる暇はない」というような、いつも本当に前向きな言葉をずっとかけてくれるので、それは本当に助かっています。気持ちの切り替えは難しい面もあるんですけど、ナオさん(立川選手)がいつも言っているように「まず自分と戦う」ということが大事だと思います。下を向いててもチームの士気が下がりますし、そういう気持ちの面について、日野戦が終わった後にかけてくれた監督の言葉が自分の中では大きかったです。そういうのもあって、悔しさがある中でも早めに気持ちを切り替えることができました。
金築選手:日野戦に勝てばディビジョン2の残留が決まるというところのラストワンプレーで僕のパスがちょっと浮いてしまったミスがあって。そこから最後に逆転されてしまってすごく悔しかったし、立ち直るのにも時間はかかりました。でも、そんな時でもチームの雰囲気がすごく良くて、そこに助けられました。誰も僕を責めないし「よく80分頑張ってくれた」っていう言葉ばかりをいただきました。日野戦に負けた後の翌週は木曜日から練習だったのですが、その日までにはしっかり心を切り替えられました。そこでグラウンドにチーム全員で集まった時、誰も日野戦の負けを引きずる人がいなかったし、次に向かって全員で取り組めたっていうのはすごく感じています。日野戦は最後の詰めが甘いところはまだ経験として成長するきっかけになったかなという試合ではありましたけど、同じことを繰り返さないように、今日しっかり勝ち切れたっていうのは本当にほっとしました。

質問者:普段からブルーシャークスのスクラムハーフ同士が仲良く見えます。
金築選手:スクラムハーフが今のチームで仲がいい一番の理由は、日本人選手は皆働いてから夜練習していて、これはめっちゃしんどいことではあるんですけど、それを全員がやってるので、お互いにそれを知っているから仲が悪くならないですね。皆同じしんどいことを一緒にやってる仲間なので、自然と仲良くなるというか、 同じ目標に向かって毎日頑張ってるっていうのを知っているので、そこは一番大きいかなと思います。
質問者:同じスクラムハーフのケイン(・ハミントン)選手がこの試合後にチームを離れることになりました。2日前の練習でのミーティングの時に彼がチームメートにかけた「昼も夜もハードワークをしている日本人選手を心から尊敬している。皆が成長するに値する努力をしている」という言葉が印象的でした。
臼井選手:そうですね。自分がこのチームに入ってきた時、ケインにはプレーに関して本当に色々教えてもらったんで、あの言葉を聞いて、これは絶対勝たなあかんなという気持ちになりました。ケインは最後の方は怪我で試合に出れていなかったっていうのもあったし、本当に(心に)響いたというか、この試合はケインのためにというような気持ちはありましたね。
金築選手: 僕がチームに入ってきてからケインは怪我もあってあまり試合に出られていなかったんですけど、彼はベテランなので、今まで経験してきたこととかを全部僕ら若い選手たちに教えてくれて。練習後にフィードバックをくれたり、具体的なアドバイスをくれたり、試合後も「めっちゃ良かったよ」とか言ってくれてるのは常々感じてて。ケインのあの言葉を聞いた時、本当に認めてもらえてるんだなっていうのをすごく感じて嬉しかったです。最後まで一緒にいられないことは寂しいですけど、チームをめっちゃ応援してくれると思うので、入替戦2戦目も勝って、来季もディビジョン2で僕らが戦っているところをこれからも見て欲しいなって思います。

質問者:次の試合が今シーズン最後の試合になりますが、どういうことを表現していきたいと思いますか。
臼井選手:昨年7月から今シーズンが始まって長いシーズンだったんですけど、その中で出来ることが増えていくっていうのを本当に感じて。試合をやる度にチームとして成長しているなっていうのがあったので、今までやってきたことを全部次の試合で出して、勝って残留を決めるっていうところが自分の目標とするところです。
金築選手:今季は長いプレータイムで出させてもらって、個人的にも成長したと思うシーズンでしたし、チームとしても試合を重ねて行くごとに良い形が見えていきました。なかなか勝ちきれない時もあったんですけど、それでもチームは全然下を向かずに常に前向きにやってきたので、そこはもう一貫して今までのシーズン最初からやってきたゲームのプランとか、自分たちのラグビーっていうのを最後に最大限発揮して、しっかり勝って来季に繋げたいなっていう思いだけです。